聴覚障がいを持つ人との交流に役立つ、音声認識・テキスト化技術

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富士通フォーラム2015 会場のようす
富士通フォーラム2015 会場のようす 全 10 枚 拡大写真

 富士通は5月14日と15日の2日間、東京国際フォーラムにて「富士通フォーラム2015」を開催。多数のセミナーやデモ展示を通じ、新たなビジネス価値創造の取組みや科学技術を紹介している。教育現場や子育てに関する展示を中心に取材した。

 フォーラムでは、ビジネスや社会における新たなICT利活用の取組みと、その取組みを支える富士通のICTを体感できる展示やデモンストレーションが行われている。展示ブースは、コンテスト会場を含め「生活・産業」「ものづくり革新」「最先端テクノロジー」「食・農業」「教育」など約100。展示ホールとは別に、セミナーが多数開催されている。

 「教育」ブースでは、聴覚障がい者の発言をサポートする「LiveTalk」と、教育ICTの利用を促進する学習情報活用サービス「知恵たま」が展示されている。いずれもスタッフによる説明と体験デモが行われ、参加者は実際にサービスに触れることができる。

発話の音声認識・テキスト化で聴覚障がいをもつ生徒も議論に参加

 「LiveTalk」は、聴覚障がいのある社員をもつ企業の要望から生まれたサービスだという。聴覚障がい者と健聴者はこれまで、筆談や板書の手間などから会議や打合せの場で円滑に議論を交わすことが困難であった。そこで、音声認識により発言をテキスト化するLiveTalkが開発されたことで、双方のリアルタイムな情報共有と意見交換が実現された。

 開発には、実際に聴覚障がいを抱える富士通社員の意見や体験が生かされており、精度の高い音声認識と認識の速さはもちろん、テキストによる意見発信やスタンプ、定型分など、多様な入力手段が用意されていた。

 これが聴覚障がいをもつ生徒にも転用できるとされ、新たな学校コミュニケーションツールとして協調学習の場に導入できるよう提案がなされた。ブース担当者は、LiveTalkについて「聴覚障がいのある生徒でも、ほかの生徒に混じってグループワークに参加することができる助けになれば」と期待を寄せた。

学習情報活用「知恵たま」

 同ブースでは、教室にいる生徒全員が平等に意見を発表、交換できる教育ICT活用ツール「知恵たま」の体験デモも行われた。知恵たまは、ICTの特性である「思考の可視化」「瞬時の共有化」「施行の繰り返し」を活用し、これまでの授業をより能動的に活発化させる目的で開発されたもの。

 知恵たまは、同社が取り組む「明日の学びプロジェクト」で国内5校、国外1校の小学校で導入されている小中教員向け支援サービス。思考を活発にし、能動的に学ぶアクティブラーニングの現場で好評を得ており、発言を多く募る機会のある授業で利用されているという。特に、国語や社会、各学校ごとの重点教科での利用が多いそうだ。

 体験デモでは、先生が電子黒板とタブレットを利用して問題や資料、生徒の発言の表示を管理でき、生徒はタッチペンや直接画面に触れることで発言できる仕組みが公開された。

 プロジェクトの一環で知恵たまを利用した生徒・先生に対し行ったアンケートによると、知恵たまに対する反応は上々なようだ。文教ビジネス推進統括部 小中高ビジネス推進部 乃一志保氏によると、アンケートにおいて生徒からは「発言できて嬉しい」「みんなの意見がみられて良かった」、先生からは「生徒の反応がよくなった」などの声が寄せられ、教育ICTを効果的に活用できたようすが見て取れたという。

 LiveTalkや知恵たまのほか、行政関係者からの注目を集めていた子育て支援アプリ「あさお子育てポータル」の展示、生活者の声を業務に活かすSNS活用支援など、多種多様なICTが展示された富士通フォーラム。

 同社は2015年5月20日から22日までに東京ビッグサイトで行われる第6回 教育ITソリューションEXPO(EDIX)にも出展し、知恵たまの体験模擬授業などを行う予定だ。

富士通フォーラム2015、ICTで子どもたちに平等な教育機会を

《佐藤亜希》

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