【ホンダ ステップワゴン スパーダ 試乗】ミニバンとして抜きん出た乗り味…中村孝仁

試乗記 国産車
ホンダ ステップワゴン スパーダ
ホンダ ステップワゴン スパーダ 全 17 枚 拡大写真

先代から『スパーダ』はパドルシフトを装備するなど、ノーマルの『ステップワゴン』に対して走りをイメージさせるモデルに仕上げてきたが、今回ほどわかり易い違いはかつて感じられなかった。

わくわくドアに関してはステップワゴンの方でじっくり書くとしてここでは、走りに特化して話を進めたい。

はじめにスパーダに乗って、こりゃいいやって思って、その後ステップワゴンに乗り換えると、おやっ?乗り心地違うなぁ…。ステップワゴンだって決して悪いというのではなくで、スパーダがメリハリ効いて顕著に良かったから。でもって、帰ってからエンジニアの方たちとお話し。

「スパーダとステップワゴンって、足、変えてますよね。」 エンジニア氏「はい、変えてます。特にハブベアリングなどもスパーダとステップワゴンでは違います」ときた。全体的にカチっとした印象を受けるのは文句なくスパーダ。ハンドリングにしても、ここまではやらなくても…というほど素晴らしい。はっきり言って、このクラスのミニバンとしては抜きんでている。

一つの理由は、ステアリングの取り付けを、従来は2点でブッシュとバンドによって固定していたものを、今回は4点でしかも剛結。はじめは余計な振動も拾ってしまうのではないかと思っていたが、いえいえ、そんなリアクションは全くなく、非常に正確でリニアな印象を与える。良いのは何もハンドリングに限ったことではなくて、乗り心地が凄い。

路面が良ければ本当にフラットで、空走感は素晴らしい。道が良ければ当然じゃない? と思われるかもしれないが、ダンパーや足の取り付け剛性などの関係で、どうしてもプルプル感が出て、平坦で良い道でもなかなかここまでのフラット感を出せている国産車は少ないのです。というわけで、ステップワゴン スパーダの乗り心地に関しては、ほとんど満点をつけても良いと思えるほどだった。

からくりの一つは、液封ブッシュの採用で、これによって路面からの衝撃はかなりの確率で遮断している印象。過去のステップワゴン中、最大サイズとなったそうで、大型化しているにも関わらず今回の場合、開口部分が多くある関係でそのあたりの剛性を徹底的に見直し。そしてハイテン材使用の拡大などを行った結果、大きく走りの印象を変えているのだと思う。

全長を若干伸ばした結果3ナンバー枠となってしまう。車幅は変わらないから、何となくもったいないと思ってしまうのは僕だけだろうか。まあ、別に税金が変わるわけでもないし、とも感じるが、かつて見た関西方面の3ナンバーお断りの駐車場を考えると(今はそんなものないのか?)、別に5ナンバー枠内で頑張っても良かったのじゃないかと言う印象が強い。それとも3ナンバーの方が偉いからそうしたのか?聞き忘れた。

3列目シートをダイブダウン式(床下収納)にするか、チップアップ式(跳ね上げ式)にするかはメーカーによって判断の分かれるところ。トヨタに言わせると3列目シートのクッションが、ダイブダウンの場合プアになるからと、頑なにチップアップに拘る。まあ、恐らくトヨタに言わせれば間違いなく「ほら見ろ。」と言われそうなのが、ステップワゴンの3列目だ。

確かに1列目、2列目と比べて明確に薄いし、何よりシートの作り自体が平坦で、特にスパーダに使われているシート素材の場合は滑り易くて、お尻の収まりが悪かった。そして、後部のわくわくドアから乗り込んだ場合、片側のシートは床下に収納された状態で走り出してしまうケースが恐らくほとんど(フル乗車でない限り)。そうすると隣にシートが無くて、かつハンドリングの良いクルマだからついついドライバーがコーナリングを楽しんでしまうと、3列目のパッセンジャーはアクロバチックな乗車を強いられるケースがある。一層のこと、3列目は2人乗車と割り切って、アームレストをつけてくれれば、体をサポートすることが出来て良いように思えた。

残念なことに、いわゆるエンプティーネスターという生活形態の僕にとってはミニバンの必要性がない。でも、欲しいと思えたミニバンであった。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来37年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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