【KTM 1190アドベンチャーR 動画試乗】パリダカマシンの血統を色濃く残した最強のビッグエンデューロ…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
KTM 1190アドベンチャーR
KTM 1190アドベンチャーR 全 8 枚 拡大写真

オーストリアのKTMは元来、エンデューロやモトクロッサーなど競技用オフロードモデルで数々の名声を得てきたメーカーである。

その技術力の高さは今日までのダカールラリー14連覇という偉業にも表れている。『1190アドベンチャーR』はダカールラリーのイメージを最も色濃く反映したモデルであり、KTMアドベンチャーシリーズの中でも最強のオフロード性能を持ったモデルとして生まれた。

熟成を重ねた水冷4ストV型2気筒「LC8」エンジンと、しなやかさと剛性感をバランスしたクロモリ製パイプフレームを組み合わせた車体は、STDモデルの『1190』と共通だが、一見して足回りがオフロード走行に特化した設定になっているのが分かる。

前後ホイールは悪路での走破性を高めたフロント21インチ、リヤ18インチに大径化され、サスペンションストロークも前後とも220mmとSTDより30mm延長。ワイドハンドルバー、前後一体型シート、クラッシュバーが標準装備されるなど、本格的なオフロード走行を想定した作りだ。“パリダカ”がまだアンリミテッドだった頃の怪物マシンそのもの外観に圧倒される。

足長でブロックタイヤという完全なオフ設定の車体ゆえ、STDの1190に比べるとオンロードでの走りはやや持て余し感はある。本領を発揮するのはやはりダートロード。ストローク感たっぷりコシのあるサスペンションが路面の凹凸をまるで感じさせず、150psのパワーが235kg巨体を飛ぶように走らせる。

感心したのは最新の電子デバイス。走行モードをオフロードにセットすれば、出力特性とトラコン介入度も自動的に最適化されるため、俄然穏やかで乗りやすくなる。慣れてくると、砂利道の林道でもリヤを軽く流しながら立ち上がることだって可能だ。通常ならこの車格とパワーでオフロードを攻める気などさらさら起きないが、このマシンならできそうに思えてしまう。

このジャンルを知り尽くしたKTMならでは、本物のビッグオフローダーだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
快適度:★★★
タンデム:★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

佐川健太郎

早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。メーカーやディーラーのアドバイザーも務める。(株)モト・マニアックス代表。「Yahoo!ニュース個人」オーサー。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
  2. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  3. これで公道走行可能だと? BMW『M2 トラック・パッケージ』がニュルに出現!
  4. 「衝撃の価格」中国メーカーの大型3列シートSUVが話題に!「むしろ経営が心配」の声も
  5. 「復活まじうれし!」「全色欲しい」新型スズキ『GSX-R1000』発表に、SNSは話題沸騰!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
ランキングをもっと見る