トヨタのラリー選手育成プログラム、選抜の新井大輝&勝田貴元「WRCめざす」

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トヨタの若手ラリー選手育成プログラムに選抜された、新井大輝(左)と勝田貴元。
トヨタの若手ラリー選手育成プログラムに選抜された、新井大輝(左)と勝田貴元。 全 5 枚 拡大写真

3日、世界に挑む若手ラリー選手をトヨタが支援・育成する「TOYOTA GAZOO Racing チャレンジプログラム」に選抜された新井大輝、勝田貴元の両選手が都内で会見、世界トップレベルの選手を目指す決意を語った。

「TOYOTA GAZOO Racing チャレンジプログラム」は、今年の2~3月に「カテゴリーを問わずJAF公認競技に参戦経験のある26歳以下(年齢は4月1日時点)」を対象に公募を行ない、71名の志願者を集めた。書類選考で7名が選出され、そのうち4名が4月末~5月初旬にかけてラリーの本場フィンランドでの2次選考(ドライビング、フィジカル等)への参加意思を表明して実際にそれに参加、そこから新井大輝=あらい・ひろき、勝田貴元=かつた・たかもと、この両名が選ばれている(発表は5月26日、既報)。

2次選考はフィンランド現地のプログラム講師陣、世界ラリー選手権(WRC)通算24勝で96~99年には4年連続でWRCチャンピオンを獲得したトミ・マキネンや、WRC通算15勝で昨年まで第一線で走っていたミッコ・ヒルボネンも加わる本格的かつ総合的なもの。

マキネンはビデオメッセージのなかで「ふたりはメンタルが強い」ことを選抜理由に挙げ、今後に向けては「トレーニングあるのみ。我々はふたりを可能な限り高いレベルに引き上げたいと思っている」との旨を語っている。

ともに日本のトップラリースト(新井敏弘、勝田範彦)を父に持つふたりは、93年生まれという点も共通するが、学齢的には8月生まれの新井大輝がひとつ下(勝田貴元は3月生まれ)。現在21歳の新井は13年にラリーデビューし、すでに全日本ラリー選手権(JRC)やオーストリア国内選手権などへの出場経験もある。

「免許を取って初めて乗ったのは軽トラでしたが、とにかく運転が好きです。ラリーはコ・ドライバー(ナビゲーター)と野球のバッテリーのような関係を築いて戦っていくところが魅力で、そこに引きこまれました」と新井はラリーの魅力を語る。

将来に向けては、「自分としては機会さえあればいつでもWRCに出たいと考えています。でも、まだ今は経験値を積み上げていくことが大事だとも思っていますので、これから欧州の国内選手権などでひとつひとつ完走を目指していって、WRCでも良いタイムを出せるドライバーになりたいと思います」と新井は話す。現状の課題は「長いステージ(競技区間)の後半の集中力、体力ですね」とも。

一方の勝田貴元(現在22歳)は、キャリア的には変わり種でもある。05年のカートデビューから昨年までサーキットレースに本格的に取り組んでおり、13年には全日本F3選手権でシリーズ2位になっているのだ(並行してラリーも始めており、14年にはJRCでクラス優勝も経験)。

「ラリーもレースも好きですが、どっちも甘くない世界。しっかり上にいくためには覚悟を決める必要がありました。もちろん葛藤はありましたが、今はもう自分のやるべきことが明確になりました」と転向の決意を語る勝田は、現状と今後に向けての展望をこう話す。「ラリーにはラリーの難しさがありますし、まだ経験値も少なく、ドライビング技術という面でも世界のトップで充分に戦えるレベルにはないと思います。17年まで欧州のラリー参戦等でしっかり経験を積んで、18年~19年にはWRCに参戦できるようレベルを上げていきたいです」。

今後ふたりは6月下旬と8月上旬にフィンランドでマキネンらのトレーニングを受ける予定で、8~10月にはフィンランドやポーランドの国内選手権にスポット参戦する計画もある。また日本ではJRCにも「Team TOYOTA GAZOO Racing」のドライバーとして参戦、様々な手法で世界一線級のラリーストへと成長するための支援がトヨタによって行なわれていく。

17年シーズンからWRCにワークスとして復帰するトヨタだけに、ふたりが成長した暁には一緒にWRC最前線へ、というストーリーも当然期待されるところ。これについてプログラムを担当するトヨタの堀川龍雄氏(モータースポーツマーケティング部第1モータースポーツ推進室Nチームグループ長)は、「世界選手権ですから、その時のふたりの状況も含めた全体的な判断ということになってくると思います」と“道の険しさ”は示唆しつつも、「もちろん(トヨタとして)その思いはあります。テニスの錦織圭選手のように、日の丸を背負って世界で活躍してくれるようになってくれれば、と思っています」。期待もまた大きい。

トヨタのマシンで日本人選手がWRCの優勝争いを演じる、そんな夢への最短距離に立った新井と勝田。だが、最短とはいえその距離自体はまだまだ長い。プログラムの進展とともに、今後の精進と活躍が注目される。

《遠藤俊幸》

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