新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は東京ビッグサイトで開催中の「スマートコミュニティジャパン2015」において、世界で推進している7つの実証実験をパネルなどで紹介。すでに成果を上げたものもあり、地元の関係者から高い評価を受けているそうだ。
NEDOは日本の産業競争力強化の観点からスマートコミュニティ事業にも現在力を入れており、米国・ニューメキシコ州をはじめ、スペイン・マラガ市、フランス・リヨン市、米国・ハワイ州、英国・マンチェスター市、インドネシア・ジャワ島、マレーシア・プトラジャヤ市でプロジェクトを進めている。
そのうち、ニューメキシコ州のプロジェクトについては2014年度に終了したが、NEDO関係者によると、大きな成果を得ることができたという。ここでは、ニューメキシコ州政府、米国国立研究所、地元電力会社などと日本企業19社が共同で電力システムのスマート化に取り組んだ。
具体的には、太陽光発電を大量に導入した際の出力変動を吸収するため、実配電線レベルでの大規模マイクログリッドの実証やHEMSによる住宅内エネルギー制御(ロスアラモス郡)、ビルの単独運転を含むマイクログリッド実証(アルバカーキ市)を実施した。「特にロスアラモス郡の実証では、約900軒のボランティアに参加してもらってデマンドレスポンスを行った結果、電力量を約10%削減することができました」とNEDO関係者。
そして、今年度からはマレーシア・プトラジャヤ市の実証実験がスタート。これは大型EVバスを用いた環境に優しい交通システムの実現を目指すというものだ。具体的な実証内容は、1つ目が主要な営業路線において、長寿命かつ超急速充電可能な二次電池を搭載したEVバスを走行、2つ目が超急速充電システムを現地に設置、そして3つ目が搭載電池の品質、充電状態およびバス運行状況のモニタリングシステム構築だ。期間は2年間で、東芝、ピューズ、ハセテック、オリエンタルコンサルタンツグローバルの4社が参加する。
「この7つ以外にも、10以上のプロジェクトが水面下で進んでいます。どれもそれぞれの地域の特性に合わせたスマートコミュニティの実証事業を考えています」とNEDO関係者は話しており、今後も続々とプロジェクトが出てきそうだ。