MERS感染阻止…韓国、タイの対応に学ぶ緊急セミナー

エマージング・マーケット 東南アジア

【タイ】バンコクのナナ地区にある大手私立病院バムルンラード病院が21日、緊急医療セミナーを開き、中東呼吸器症候群(MERS-Cov)の第一例が発見されたその後の状況について報告を行った。

 タイでは滞在中に体調を崩して6月15日にバムルンラード病院の夜間救急外来を受診したオマーン人旅行者がこれまでに確認された唯一のMERSコロナウイルス感染者。バムルンラード病院では患者が呼吸器疾患の症状を示していたため、ただちに患者を説得して感染症患者用の特別隔離治療室へ入院させ、その後MERSコロナウイルス検査を実地、感染が確認されたため、バンコク郊外ノンタブリ市にあるタイ保健省指定感染症管理センターに移送した。患者は順調に回復し、7月2日に帰国した。

 中東からの患者が多いバムルンラード病院では、MERSコロナウイルスが発見された当初から、タイでの感染発生に注意を払い、韓国での大規模な感染拡大が報道されるようになった6月初旬には、病院の医師、看護師をはじめ、幹部から警備員に至るまで教育と訓練を実施した。そのため、オマーンからの旅行者が運び込まれた際も迅速な対応が可能だったという。結果、タイでは感染者1人で封じ込めに成功した。韓国では情報不足などから診断に時間がかかった上、感染の確認を受けてからの対処だったため拡大防止措置が後手に回り、今年5月以降、死者36人、感染者186人を出す事態に陥った。

 MERSコロナウイルスは2012年に初めて確認された。コウモリやラクダが宿主と考えられており、ラクダと接する機会が多いアラビア半島周辺で人への感染が広がった。潜伏期間は約14日で、世界全体でこれまでに死者486人、感染者1357人が確認されている。

 一般的に健康な人には感染しにくいが、▼感染地域を訪れる▼感染者を診療した病院に入る▼流行地域でラクダに触れる、肉や乳製品を摂取する――といったリスク要因があると、感染率は高まる。MERSコロナウイルスは、涼しく乾燥した環境を好むため、免疫力の低下している患者が集まる病院で感染がおきやすいと考えられている。唾液や鼻水などの感染者の体液が触れることで感染し、免疫力が弱まっている人には特に重症化しやすい。

 バムルンラード病院では、来院者全てに、MERS流行地域への渡航歴や症状の有無などの聞き取りスクリーニングを行っている。聞き取りの結果、疑いがある場合は、一般の患者からは隔離された場所にある特別クリニックで、医師による問診とウィルス遺伝子の同定検査を行う。検査はいくつか種類があるが、簡易なものはだいたい6時間程度でウィルス陽性か陰性かの結果がわかる。結果が陽性となった場合は、タイ保健省の指導に従い、指定の感染症管理センターへ搬送される。

 病院では、こまめな手洗いと人ごみを避けること、マスクをすることなどを有効な予防策として紹介している。また、熱、湿気、紫外線に弱いため、タイはMERSコロナウイルスが広がりにくい環境でもある。

MERS感染封じ込め 韓国失敗、タイ成功のカギは バムルンラード病院がセミナー

《newsclip》

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