【日産 エクストレイル ハイブリッド 試乗】ぱくっと食いつく前に吟味していただきたい…岩貞るみこ

試乗記 国産車
日産 エクストレイル ハイブリッド
日産 エクストレイル ハイブリッド 全 12 枚 拡大写真

「ハイブリッドないの?」ってディーラーに来る人が多いんだそうな。だから、メーカーもとにかくハイブリッド車を設定しようとする。けれど、ユーザーも「わーい、ハイブリッドだ。燃費いいんでしょ?」って、ぱくっと食いつく前に吟味していただきたい。ハイブリッド車ってね、メーカーが仕掛ける「撒き餌」ですから。

『エクストレイル』のよさは、価格控えめの使い倒せるSUVってところ。けれど、ハイブリッドにすれば当然、価格は上がる。ユニットを押し込めた分、荷物スペースも犠牲になっている。ついでにスペックを見ると、SUV選びのポイントとなる地上最低高は、ガソリンエンジンの205mmから195mmへとダウン。

ついでにもっと気になるのは、車両重量が130kgも増えているというところ。雪道では慣性の法則で、重いクルマは曲がらない&止まらない傾向にある。小心者で雪道の苦手な私など、無駄に軽いクルマを崇拝してしまうほどだ。本気で雪道を使い倒そうとする“エクストレイル・ラバー”は、このあたりを認識する必要があるだろう。

とはいえ、ハイブリッドの利点も捨てがたい。燃費が上がったのに、ガソリンタンクは60リットルのままなので、ワンタンクでの航続距離が伸びている。雪はともあれ、長距離や山の奥へと活動範囲の広い人にとっては、ここは高評価点である。加えて、ハイブリッドならではの加速の力強さ。モーターで走りはじめてエンジンが始動すると、エンジン音がいきなり耳に届くのが気になるものの、始動時の振動は少なく加速はスムーズにつながっていく。エクストレイルがもともと持っているコーナリングの自然でしなやかなこなしは、背の高いクルマを運転するときに生じる不安をまったく感じさせない。

要は、ハイブリッドにしたことで、本来、エクストレイルの持つシンプルで使いやすい魅力のベクトルが、別方向へと動いているということ。荷物多目の雪道系はガソリン、街乗り&オンロード・ツーリング系はハイブリッドと、よりターゲットをしぼったクルマ作りになった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近はノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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