【鈴鹿8耐】エヴァRT初号機TRICKSTAR、トラブル続き満身創痍の11位完走「結果には納得」

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エヴァRT初号機TRICKSTAR
エヴァRT初号機TRICKSTAR 全 16 枚 拡大写真

26日に決勝が行われた2015“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース。6度目の挑戦となったエヴァRT初号機TRICKSTAR(出口修/井筒仁康/エルワン・ニゴン)は11位完走。かつてない過酷な状況の中、8時間を激走した。

今年は耐久選手権で輝かしい実績を残しているエルワン・ニゴンを第3ライダーに抜てき。金曜日の公式予選でも強豪揃いの中で3年ぶりにトップ10トライアルに進出。最終的に8番グリッドを手にした。

ここまで順調にスケジュールをこなしてきていたが、決勝日の朝になって予想外の事態が発生してしまう。決勝前に行われた45分間のウォームアップ中にまさかの転倒。何とか自走でピットまで戻ってくるも、スピードの乗るS字コーナーでのアクシデントだっただけにバイクにも大きなダメージが及んでいた。

チームは貴重な走行時間を無駄にしないため、すぐにスペアバイクでピットアウト。ところが次は1コーナーでハイスピードクラッシュを喫した。乗り込んでいたニゴンに怪我はなかったが、こちらもフレームにまで深刻なダメージが及んでおり、スターティンググリッド整列まで約1時間30分しかないというところで、走行可能なバイクを失ってしまう絶体絶命のピンチに陥ってしまった。

それでもチームは何としてもバイクをグリッドに並べるため諦めない。傷ついたバイクをサーキットから運び出しフレームの破損箇所を溶接等で緊急修復。なんとか走行可能の状態に戻した。しかしスターティンググリッドへ着く時間は迫っており万が一、ピット出口閉鎖にまでに間に合わなければピットスタート、つまり金・土曜日でチーム全員で努力して掴みとった8番グリッドを失い最後尾からレーススタートとなる。

チームスタッフは最後まで諦めずにバイクを組み上げ、閉鎖1分前にエンジン始動、すぐにライダーが乗り込み30秒前にピットアウト。その瞬間を見守っていたグランドスタンドの観客からは拍手が沸き起こった。

何とか8番グリッドに到着したエヴァRTだったが、バイクは応急処置を施した状態に過ぎずまっすぐ走るのもやっとという状況。さらに転倒時のフレームの歪みでレース中のタイヤ交換にも影響が出てしまった。前日の夜に何度もピット作業の練習を繰り返し、少しでも上位進出を果たすために1秒でも作業時間を削る努力が見られていたが、これも機能しなくなってしまう。

そして追い打ちをかけるかのように気温35度、路面温度60度を超え、ここ数年のレースを振り返っても例がないほどの暑さ。クラッシュの影響で乗りにくくなったバイクをコントロールしながらの走行で、経験豊富の出口や井筒だけでなく耐久レースに慣れているニゴンも終盤は疲労困ぱいだったとのこと。

特に井筒は走行中に搭載していたドリンクが補給できないトラブルに見舞われ脱水症状に陥ってしまった。終盤スティントは急きょ出口とニゴンに交互に走り、まさに満身創痍の状態で8時間を激走。最終的にトップから5周遅れの11位でフィニッシュ。予選から順位を下げてのチェッカーとなった。

チームを率いる鶴田竜二監督は「決勝の結果は11位という我々が目指した順位から大きく下がりとても残念でしたが、レースが出来るか不安な状況下ではライダーもスタッフもチーム一丸となり諦める事なく最後まで良く戦い抜いてくれました。全員で団結しゴールした結果には納得しております。」と振り返った。

エヴァンゲリオンとコラボし話題を集めているTRICKSTAR。その挑戦も6度目。今年は何としても上位フィニッシュを果たすためニゴンを起用したほか、バイクのセットアップ方針も大幅に変更するなど例年にない“攻め”の姿勢が見られた。しかし、それでも結果を出させてくれないのが鈴鹿8耐の厳しいところであり難しいところ。

最後に鶴田監督は「我々はプロのレーシングチームである以上、常に結果を追い求めなければなりません。今回の反省を活かし次回に繋げて行きたいと思います」とコメントし、早くも1年後の7度目の挑戦でリベンジを果たすべく、すでに動き出している様子だった。

《吉田 知弘》

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