ホンダは7月31日、2016年3月期第1四半期決算を発表。売上高が前年同期比15.5%増の3兆7047億円、営業利益が同16.4%増の2392億円と大幅に伸びたものの、日米で大きな違いが出る結果となった。
北米の販売は『パイロット』『HR-V(日本名・ヴェゼル)』が非常に好調で、前年同期よりも4.8万台(約11%)増えて49万7000台。一方、日本は前期後半から立て続けに新型車を投入したものの、5.5万台(約27%)減少の14万7000台だった。その差は同業他社と比べても格段に大きい。
「なぜ米国で強いかというと、ブランドだと思う。それはいち早く英国で現地生産を始めた日本メーカーで、以来築き上げたブランドが今のホンダを支えている。品質についていろいろあったが、お客様が納得されて購入していただいているのが現状だと思う。相対的に見て、ホンダのブランドは米国では強い」と岩村哲夫副社長は米国での販売好調の理由は説明する。
それに対して日本は「全社的に前年を相当割っている状態で、一人負けではないという認識だ。出す車によっては見込み違いのもののあったが、『ステップワゴン』や『シャトル』は高い評価をいただいている」と岩村副社長は前置きし、こう付け加えた。
「日本でもホンダは強いブランド力を持っていると認識しているが、こういう市場環境の中、マーケットトレンドに乗った形になっている」
確かに昔からホンダを知る一定年齢以上のユーザーには高いブランド力を持っているかもしれないが、若いユーザーにはそんなものはないと言ってもいいだろう。そのため、マーケットが冷え込めば、ホンダ車の販売も落ち込んでしまう。しかも、一連のリコール問題によってその落ち込み幅は他社以上となっている。
日本も米国のように好調な販売を取り戻すには、経営陣自らが過去の栄光を捨て、もう一度一からブランド力を構築するという気概が必要ではないだろうか。マツダはそれを成し遂げ、低迷する国内市場で前年よりも販売台数を大きく伸ばしている。今のままではホンダの国内販売は存在感が薄れていき、ますますじり貧になっていきそうだ。