自動車用塗料を手がける大手化学メーカーのBASFは7日、六本木アカデミーヒルズで開催したカンファレンスで最新のカラートレンド予測を発表した。これは世界各地域における2~3年先の、自動車ボディカラーのトレンドを予測したものだ。
この予測は毎年、同社コーティングス事業部のグローバルデザインチームによって作られている。カラーデザイナーたちはグローバル、そしてアジア太平洋、北米、欧州という各地域ごとという2つの視点から、時代の流れや政治経済、最新ファッションなどの社会トレンドを読み解き、色彩への影響を分析。
その分析結果を塗料に落とし込み、自動車メーカーをはじめとした顧客に発信している。今回公開されたのはその一部となる。
今年の、2018~20年ごろのトレンドを予測した色彩のテーマは『RAW』。直訳すると「生の/未加工の」ということになるが、日本では『あるがままに』という訳語が与えられている。
この「あるがままに」という言葉は、BASFによれば「完璧なものや過度に表現されたものよりも、素のまま の飾らないもの」や「自分自身の感覚」をより追求する価値を表現したものだという。
「基本に立ち返って本当の価値を見直し、オープンで素直な気持ちで進んでいこうという気持ちを表現したものです。自身の心の声に耳を傾け、それに従って生きていくというライフスタイルを象徴しています」と説明するのは、同社でアジア太平洋地域のカラーデザインを担当する松原千春チーフデザイナー。
「技術の発達で生活が便利になるいっぽう、絶え間なく情報があふれ、ときには戸惑って自分自身を見失ってしまうこともあります。そんな過剰な環境から一歩引いて、自分にとって本当に必要なものはなにかということを冷静に考える。そういったことが『RAW』には込められているんです」。
松原チーフデザイナーは「人々は他者とのつながりを大切にして共存しながら、自身の立ち位置を明確にして、冷静にそして理性的にバランスのよい生活を送りたいという要望が高まっていると考えています」と分析結果を紹介した。
そしてこの結果から、グローバル視点では『BASICALLY...(感覚に従う)』、『JUST TIED?(技術と生命の融合)』、『NEVER STOP(過剰なものへの反動)』という3つの共通テーマが設定された。いずれも日本語ではニュアンスを重視して意訳した言葉があてられている。
この3つの世界共通テーマに従って開発された色彩は、全体的には落ち着いた色が多めの印象。これはテーマが異なっていても「人間の基本に立ち戻る」という意識を重視し、反映させたためのようだ。またカンファレンスでは、アジア太平洋、北米、欧州という各地域ごとのトレンド予測も発表された。
このほかに、色彩を自動車メーカーなどに提案するための「トレンドブック」がIF賞やレッド・ドット賞などのデザイン・アワードを獲得したことも、 BASFジャパン機能性材料統轄本部コーティングス事業部のトーマス・グミュール執行役員から紹介された。
「カラーデザインにおける成功の鍵は、テクノロジーや研究開発だけでなく、カスタマーと緊密に連携することが重要。BASFはカスタマーとの『コ・クリエイション(共創)』をテーマに活動しています」と同氏。
「個人の嗜好や文化の継承において、色彩は社会の共通言語だと考えます。わたしたちの自動車塗料分野における熱意を感じていただけると嬉しいです」と、カラーデザインの重要性、そしてBASFのポテンシャルをアピールしている。




