世界展開する「物流不動産」…業界のパイオニアが語る事業戦略

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「エンジ力強化し付加価値高める」と山田社長
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 物流不動産の開発・運営事業を欧米、アジア地域の21カ国で展開するプロロジス。1999年に日本法人を設立して以降、国内市場で賃貸用物流不動産の開発に先駆的に取り組んできた。山田御酒社長は「景気動向に左右されず、コンスタントに物流施設を供給する」と事業の継続性を重視する。業界のパイオニアとして、引き続きマーケット創生を主導していく。

 --日本市場に本格進出して15年が過ぎた。

 「2000年当初は、賃貸用の物流不動産になじみがなく、投資先や開発事業として成り立つのかといった声も聞かれた。幸いなことに当社グループが欧米諸国でビジネスの成功を実証していたため、時間がかかっても事業モデルに間違いはないと確信していた。海外市場で付き合いのあった日本の物流大手に賃貸用施設を使ってもらったことも宣伝になり、賃貸施設への認識が深まった」
 「これまでの開発実績は79棟(売却済み・開発中含む)、延べ約528万平方メートル(開発中含む)に達する。紆余(うよ)曲折があったが、日本市場で賃貸用物流施設が主流となり、同業他社も参入して事業の裾野が広がってきた。今はコスト高だが景気は悪くない。今後も一気に広げるのではなく、コンスタントに施設開発を進める。目標は定めていないが、目安として年間の投資額500億円前後、総延べ40万平方メートル規模の施設供給を考えている」

 --今後の事業戦略をどう描く。

 「物流専業のアドバンテージと、グローバル企業のプラットホームを活用しながら、他社との差別化を図る。急速に拡大するネット通販などEコマース関連の企業向けに立地や仕様などを工夫し、開発需要を取り込む。これまでもパイオニアとして空白地帯に先駆的に進出し、そこに他社も追随して施設の集積が進み、物流の中心地を形成してきた。ニーズを見定め、顧客と連携してマーケットを創生する」
 「扱う商材で立地条件も異なる。テナント対象のさまざまな企業との調整・連携なしには、100億、200億円投じて開発しても、誰にも見向きもされない施設になるだけだ。道路などインフラの整備状況、労働力の確保、物流ネットワークの再構築など、さまざまな観点から市場を調査・分析した上で、顧客に対してより良い提案を行う」

 --建築コスト高への対応は。

 「レンタブル比をできるだけ大きくし、利用できる床面積を広げて収益性を高める。無駄な部分を出さない施設づくりを徹底し、建築コストが上がっても賃料を少しでも抑えて提供する努力が不可欠だ。インハウスの設計・CM部隊を持っている強みを生かし、コスト高の中でも顧客の要望に的確に応えていく」
 「性能・機能面で付加価値を高め、高い賃料に見合った物流施設を提供する。高度な温度・清浄度管理が求められる食品や医療・医薬品関係を扱う事業者ニーズへの対応では、エンジニアリング力が問われる。関連技術・ノウハウを持つ企業とのアライアンスなどにも積極的に取り組む」。(やまだ・みき)

物流デベロッパー・トップの視点(1):欧米・アジアで展開するプロロジス・山田御酒社長

《日刊建設工業新聞》

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