【フォード クーガ 試乗】日欧米のいいとこ取り、グローバルブランドらしいクルマ…森口将之

試乗記 輸入車
フォード クーガ トレンド
フォード クーガ トレンド 全 13 枚 拡大写真

ヨーロッパ車で1.5リットルのクルマは少ない。昔からモータースポーツのレギュレーションなどで、1.6リットルが境目になっていたからだ。

なのにフォードのSUV『クーガ』の新型は、1.5リットルと2リットルの直列4気筒ターボという、日本の税制を意識したラインナップで登場した。グローバルで展開するブランドらしい。

現行フォードではひとクラス下のSUV、『エコスポーツ』に続く設定となる1.5リットルは、エントリーグレードの「トレンド」が積む。従来より100cc小さいわけで、力不足を懸念する人がいるかもしれない。でも最高出力は182ps、最大トルクは24.5kgmと、旧型とまったく同じだ。だから加速は不満なし。燃費についても、100ccのダウンサイジングに加え、アイドリングストップが追加されたから、伸びが期待できる。

一方、途中で乗り換えた上級グレードの「タイタニアム」に積まれる2リットルは242ps/34.2kgmを発生。はるかに大柄な『エクスプローラー』の車体を軽々と動かすだけあって、クーガとのコンビは静かで余裕があって、2.5リットル5気筒ターボを積んでいた初代を思い出すほどだ。でも個人的には1.5リットルで十分だと感じた。

そう思った理由はシャシーにもある。タイタニアムでは低速で18インチタイヤの固さが気になる場面があったのに対し、17インチのトレンドはサスペンションとのバランスが絶妙だった。ただし電子制御AWDシステムがもたらすハンドリングは似た感触で、どちらも安定しきっており、なおかつ素直だった。

クーガはこれまでも、アメリカ仕込みのSUV作りのうまさと、ヨーロッパ仕込みのシュアなハンドリングの融合という、いいとこ取りのクルマ作りが魅力だった。新型はそこに、日本に似合うエンジンを組み合わせた。グローバルブランドらしい仕事に感心する1台でもあった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、インターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 待望の新型スズキ『GSX-R1000R』が予告なしの初公開!「3色3様」往年のレーシングカラーで日本市場復活へ
  2. 世界初の「破壊不可能ホイール」って何だ!? テスラ向けパーツ手掛ける米メーカーが開発
  3. 「ミニGSX-R」をスズキがサプライズ発表!? 鈴鹿8耐マシン以上に「サステナブルかもしれない」理由とは
  4. 新型『ムーヴ』『ステラ』のコーナリング性能を向上、ブリッツの車高調「DAMPER ZZ-R」シリーズ
  5. 車検NGの落とし穴!? シート交換で絶対に知っておくべき新ルール~カスタムHOW TO~
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
ランキングをもっと見る