クルマのキャラクターを強調し魅力を付加…ZFの多段トランスミッションを試す

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ZFのトランスミッション搭載する試乗車(500X)
ZFのトランスミッション搭載する試乗車(500X) 全 7 枚 拡大写真

ZF製のプロダクトの中でも、最もポピュラーな存在といえば、それはやはりトランスミッションだろう。ここ数年のテクニカルトレンドは、もちろんさらなる高効率を目的とした多段化。

ZFからはすでに、8速AT(8HP)や9速AT(9HP)が投入されているが、さらに前者からは、その第2世代となる最新型もデビュー。フランクフルトショーを前に開催されたメディアイベントにおいても、ZFはこれらのトランスミッションを搭載した試乗車を多く用意し、試乗する機会を与えてくれた。

注目すべきはやはり、昨年夏に第2世代へと進化を果たした8HPだ。現在ZFからは、入力可能なトルクに応じて、8HP50(500Nm対応)と8HP75(750Nm対応)の両ATが第2世代としてラインナップされている。ミッション内部の摩擦抵抗をさらに削減したほか、エンジンからの振動対策として新たにトーショナルバイブレーションダンパーを搭載したことなどが、そのメカニズム面での特長となっている。

さらにこの第2世代8HPにはPHEV用も用意されている。ZFから発表されているスペックによれば、トランスミッションに内蔵されるエレクトリックモーターは、最高出力が90kW。これによって120km/hの最高速を可能にするという。

今回は、BMW『5シリーズ』で、第2世代8HPのフィーリングを確認することができた。いかにテストコース内での試乗であったとはいえ、やはり直接的に第一世代の8HPと比較したわけではないので、ZFが第2世代の特長とアピールする低振動や、さらにスムーズになったというシフトフィールを明確に体感することは残念ながらできなかった。

興味深かったのは、むしろ同じ第一世代の8HPでも、搭載モデルによって異なる制御が与えられていること。それはつまり、各々のモデルが持つキャラクターというものを、ZF製のトランスミッションが強調し、走りにさらなる魅力を生み出していると表現することもできる。

FF車用の横置き搭載を実現する9HPでも、もちろんその印象は変わらない。トランスミッション多段化は、いわゆる搭載エンジンのダウンサイジングとともに、歩みを進めてきた技術。多段化による最大のメリットは、最も燃焼効率に優れるエンジンスピードを使うことが可能になること。ZFは9HP28(280Nm対応)と9HP48(480Nm対応)の両タイプが発表されており、こちらも将来的にはPHEV用を派生する可能性を秘めている。

テストコースには、ジープ『チェロキー』や同『レネゲード』、ランドローバー『ディスカバリースポーツ』、ホンダ『CR-V』、そしてフィアット『500X』などの試乗車が用意されていた。実際に試乗した全車に共通して感じられたのは、シフト速度の速さとスムーズさ。この9HPにはドグクラッチが採用されているという事実を、一瞬忘れてしまうかのような素晴らしいフィーリングだった。

ZFのトランスミッションは、これからもさらに技術的な進化を続け、クルマの走りをより魅力的に、そして高効率なものにしてくれるだろう。現代のクルマのパフォーマンスやキャラクターを決定する直接のキーとなるのは、もしかするとトランスミッションといえるのかもしれない。

《山崎 元裕》

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