【アウディ TT 試乗】あらゆるシーンで扱いやすい懐の深さ…藤島知子

試乗記 輸入車
アウディ TTSクーペ 新型
アウディ TTSクーペ 新型 全 16 枚 拡大写真

今回で3代目としてフルモデルチェンジを果たしたアウディ『TT』。そのスタイリングはホイールアーチを強調したボディサイドのデザインやレーシングカーさながらのアルミのフューエルキャップを受け継ぎ、フロントフェイスは同社のフラッグシップスポーツカーである『R8』の要素をミックスさせている。

最新モデルであることを印象付けるのは直線的に光を刻むマトリクスLEDヘッドライトの表情。ル・マンで活躍したR18がモチーフになっているのだという。インテリアには「アウディバーチャルコックピット」が日本のアウディのモデルに初めて採用された。ドライバー正面のメーターパネルは12.3インチの大型液晶ディスプレイになっており、速度計やエンジン回転数などクルマの状態を把握するメーターの表示に加えて、カーナビの目的地設定、手書き文字入力、オーディオの情報表示など、ドライブする上で必要な情報が表示される。

液晶メーターはメルセデスベンツやボルボ、ランドローバーなどがすでに採用してきていたが、質感の高さや機能性でいえばTTの出来映えが圧倒的に高いレベルにあるといえる。ただ、最近のデジタル家電の操作ロジックを知っていれば感覚的に使いこなせるが、オーソドックスな操作を求める保守派のユーザーの場合、最初はその操作方法に戸惑ってしまうかもしれない。

今回のTTは本格的なスポーツ性を磨き上げてきたことが見どころといえるだろう。ホイールベースは先代よりも37mm拡大されているが、高張力スチールとアルミ材を組み合わせたボディは従来比ー50kgの軽量化とねじれ剛性+23%の高剛性化を実現している。

ラインナップは「TTクーペ」、「TTロードスター」、「TTSクーペ」となるが、全て直4の2L直噴ターボエンジンとなり、基本のコンポーネントとなる230馬力仕様のほかに、ハイスペックなTTSには出力を高めた286馬力が設定される。

試乗は十勝スピードウエイの本コースで行われたが、サーキットレベルのハイスピードな走行環境でも優れた操縦安定性を発揮。最新世代のクワトロシステムは巡航時は前輪に100%トルクを配分するようになっているが、ダイナミックモードでアクセルを踏み込めば後輪に最大50%の駆動力を分け与える。アグレッシブにスポーツドライビングを楽しむシーンではドライバーはリヤタイヤの動きを感じ取りながら、素直なハンドリング特性を楽しむことができる。

4輪駆動に囚われ過ぎてしまう嫌な締め付け感は感じにくく、ウエットコンディションでも路面を的確に捉えていくしなやかな足取りは絶大な安心感にもつながっていく。1600回転から幅広い範囲で力を発揮するエンジンのフラットなトルク特性は街乗りから高速域までのシーンで扱い易く、ドライバーのテンションに応じた走りが楽しめそうなところにも懐の深さが感じられる。

■5つ星評価
パッケージング :★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

藤島知子|モータージャーナリスト
幼い頃からのクルマ好きが高じて、2002年からワンメイクレースに挑戦。市販車からフォーミュラカーに至るまで、ジャンルを問わず、さまざまなレースに参加している。2007年にはマツダロードスターレースで女性初のクラス優勝を獲得した経験をもつ。現在はクルマの楽しさを多くの人に伝えようと、自動車専門誌、一般誌、TV、WEB媒体を通じて活動中。走り好きの目線と女性の目線の両方向から、カーライフ全般をサポートしている。COTYの選考基準は、クルマと共に過ごす日常において、気持ちを豊かにしてくれるクルマかどうかに焦点を当てる。

《藤島知子》

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