【三菱 アウトランダー PHEV 試乗】新型が災害に強く、よりペットに優しい理由…青山尚暉

試乗記 国産車
三菱 アウトランダーPHEV
三菱 アウトランダーPHEV 全 14 枚 拡大写真

『アウトランダーPHEV』が改良を受け、新型になったのを機に、あらためてアウトランダーPHEVの電源供給車としての強み、ペットフレンドリー度を検証した。

新型はバッテリー満充電時使用可能容量10kWhというスペックこそ変わっていないが、最上級グレードGプレミアムパッケージに標準化され、それ以外のグレードでも7万5600円でOP装着できる100V/1500Wコンセントの威力はハンパではない。具体的には災害時、家が停電したとしても、満充電状態のバッテリーだけで一般家庭の約1日分、発電機として機能するエンジンがガソリン満タンなら約10日分の給電が可能なのだ。

もちろん、100V/1500Wコンセントはアウトドアライフでも大活躍する。ドライブ途中で充電し、例えばキャンプ場に着いた時点でバッテリーが約70%残っていたとすると、残容量は7000Wh。そこで800Wの電化製品を使ったとすると、800W/7000Whで、8.75時間使い続けることができる。

以前、1300WのIHクッキングヒーターをアウトランダーPHEVの電力で使ったことがあるが、IHクッキングヒーターは電源を入れた瞬間のみ1200W程度を消費するものの、煮炊きしているあいだは、実際500W程度の電力消費でしかなかった。夏だったためテント内に設置した「どこでもクーラー」も実質250W程度で運用。それぞれ最大約14時間、28時間も使うことができるのだから頼りがいがある(そんな連続使用はあり得ないが)。暑い時期はミニ冷蔵庫(消費電力50W程度)、寒い時期はコーヒーメーカーなどを積んでおけば、ドライブはより楽しく快適なものになる。

アウトランダーPHEVはペットフレンドリー度も高い。災害時、犬連れで避難所に入れなくても、車内が電気の通った”マイ避難所”になり、パソコンやTVなどでの情報収集はもちろん、煮炊きも可能。後席を倒せば家族2人と愛犬が車中泊することだって可能なのだ。ヘッドレストを逆付けし枕分の長さをかせげば、ベッド長は身長170cm+の人が足を真っすぐ伸ばして寝られる長さになる(やや角度はつくが)。

日常的にはツインモータードライブのスムーズで静かな走りは聴覚に優れた犬の耳にも優しく、サスペンションの取り付け部剛性を高め、リヤショックアブソーバーを1サイズUPしたことでより車体のロールの動きがゆったりし、カーブなどでゆらゆらしない安心感・安定感ある乗り心地になったため、車内でどこかにつかまれない犬の快適感も一段と高まったはずだ。エコモードにセットすれば、電費こそ変わらないものの、さらに加速はスムーズで穏やかになり、犬も心地良くドライブを楽しめるというわけだ。

さらに犬をリヤドアから乗せる場合、本革シートはもちろん、コンビネーションシートもシートサイドが機能性素材となるため、乗降時のシートサイドの抜け毛付着汚れはファブリック地と違い皆無。シートサイド下端とサイドシルの間が樹脂プレートで覆われているため、手の届きにくいすき間に抜け毛が入り込んでしまうこともない、というメリットがある(掃除がしやすい)。

つまり、新型アウトランダーPHEVは全天候型で悪路はもちろん、災害にも強く、ペットフレンドリー度もまた高い最強と言っていいプラグインハイブリッド車、SUVに進化したことになる。愛犬家にもお薦めである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行なっている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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