【三菱 アウトランダーPHEV 試乗】全方位無敵、プレミアムSUVに進化…青山尚暉

試乗記 国産車
新型アウトランダーPHEV
新型アウトランダーPHEV 全 10 枚 拡大写真

『アウトランダー PHEV』は今や三菱を代表する1台になった。

そう、定評ある『パジェロ』譲りの悪路走破性、雪道にも強い『ランサーエボリューション』譲りの四輪駆動力システムS-AWCとPHEVならではのツインモーター4WD、そして『i-MiEV(アイミーブ)』=電気自動車の技術といった三菱自動車の強みを惜しみなく投入した先進のSUVなのだ。

今回行われた一部改良では、まずエクステリアをリフレッシュ。顔つきはぐっと精悍(せいかん)に、迫力あるものに大変身。前型と比較すると別物のカッコ良さ、存在感を放つ。インテリアにしても手に触れる部分、視界に入る部分の質感をアップ。プレミアムカーとしての立ち位置をより明確にしている。

もちろん、走りにかかわる部分にも手が入っている。床下に配置される大容量12kWhのリチウムイオンバッテリーとフロント60kWh、リヤ60kWhの出力を持つふたつのモーター、そして2リットルエンジンこそは変わりはないが、エンジンの発電効率、ツインモータードライブのスムーズさ、静粛性、サスペンションのボディー取り付け部剛性などをさらに高め、PHEV制御の最適化を計り、リヤショックアブソーバーを1サイズUPするなど、燃費、操縦安定性、走りの質感にかかわる部分にまで手が入ってる。

新型アウトランダーPHEVを走らせれば、改良の跡はすぐに分かる。とにかく出足からのEV走行のスムーズさは一段と滑らかになり、ドアをドスンと閉めた瞬間から感じる、外界から遮断されたかのような、エンジンが始動してもほとんど気づかせない圧倒的な静粛性、そして乗り心地の良さに驚かされる。具体的にはエンジンが始動した状態でさえ、低速走行ならまるでEV走行のような滑らかさ極まる走行感覚なのである。

乗っていて静かで快適なのは前席だけではない。後席の快適感が向上しているのは当然として、わが家の自称"自動車評論犬"(!?)のマリアによれば、ラゲッジ部分でさえ前型より静かで乗り心地も良くなっているというのだ。

その理由はダイナミックダンパーの採用に始まり、リヤホイールハウス回りに樹脂フォーム材を、テールゲートトリム内にスポンジを封入するなどした、徹底的な遮音、吸音対策が功を奏しているのだ。

アウトランダーPHEVのエンジンは約2000回転から効率が良くなるのだが、これまではややノイジーで効率面で使いにくかった…と開発陣は証言する。しかし新型は上記の遮音、吸音性能の向上でエンジン回転を常時、高めに使えるため、PHEVとしての効率が良くなり、特にハイブリッド燃費性能が高まったというわけだ。

結果、ハイブリッド燃料消費率は1.6km/リットル向上した20.2km/リットル、EV走行距離を60.0kmから60.8kmへと改善している(いずれもJC08モード)。ただし、実質約45kmというEV走行距離は変わらない。

新型アウトランダーPHEVは100V/1500Wのコンセント車内2か所に用意する。抜群の走破性と発電&給電能力、そして災害対応能力の高さから、アウトドア&ウインタースポーツ派にはもちろん、万一のとき、避難所に入りにくい愛犬家にもお薦めしたい1台だ。今回の改良によって、その商品力、プレミアム性はさらに高まり、強力なものになったと言えそうだ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
ペットフレンドリー度:★★★★

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、イベントも手がけ、犬との自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉》

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