【ジャガー XE 試乗】ドイツ御三家に“正面突破”な心意気が気に入った…高山正寛

試乗記 輸入車
ジャガー XE
ジャガー XE 全 13 枚 拡大写真

世界はもちろんだが、日本市場においても“激戦区”であることは誰もがわかっている。BMW、メルセデスベンツ、アウディの御三家、国産で言えばレクサスがしっかり市場を抑えているこのセグメントに正面から切り込もうというジャガー久々のプレミアムモデル『XE』。

何とも潔いというか、正面突破を試みようという姿勢が気に入った。

ジャガーのマーケティング担当者は車両概要説明の際に「GameChanger(ゲームチェンジャー)」という言葉をやたらと使っていた。これまで欧州御三家がガッツリ抑えてきたマーケット(Game)を変えよう(Changer)というのである。

デザインはクルマに詳しくない人が見たらひと目でジャガーとはわからないかもしれない。でもそれでいいのだ。元々品のあるデザインを持つジャガーだけど、少しだけ角がとれたことで世界中の人に「いい奴ですよ、あいつは」と思わせる優等生的な印象は、良い意味で購入時の敷居も下げてくれるだろう。

試乗した2リットル4気筒ターボを搭載するシリーズ中、当面の間売れ筋になることが予想される「XE2.0プレステージ」は装備と価格のバランスがいい感じ。

エントリーモデルと言うとジャガーには怒られるかもしれないが、最廉価の「XE2.0ピュア」は「500万円以下で(あの)ジャガーブランドが手に入るんですよ、お客さん!」という戦略的なグレードだ。価格差は38万円あるけど、マテリアルの良さとか見たら絶対プレステージは外せない。せっかくプレミアムモデルを買うんだから、このグレードは最低でも死守?しないとね。

パワー感は十分過ぎるほど。アルミ合金を75%以上も使い軽量化したボディと、とにかく接地性が高いサスペンションによりフットワークが軽い。特にリアサスペンションのお仕事ぶりが見事で操舵感の自然なステアリングをちょっと激しく操作しても不安な感じはホント少ない。ちょっとクルマの詳しい人なら駆動方式にこだわらず、リアサスの動きとロールを感じながらクルマの向きを変える、といった走りも楽しめる。ま、そんなことを考えなくても良く動くし、気持ちがいいんですけどね。

いいじゃないですか、XE! とはいえ、手放しで褒められない部分もある。Wi-Fiユニットやエマージェンシーコールなどひと通りの機能は有しているインフォテインメント系サービスだけど、本筋のナビゲーションがあまりにも“普通”。レクサスまでは無理でも何かひとつジャガーならではの“飛び道具”も欲しい。

あと、最後に言っておきたいのがやはりプレミアムディーゼルの導入である。すでにボルボが『V40』を筆頭に一気に5モデルにディーゼルを導入してきたが、XEも自社開発による「インジニウム」と呼ばれる2リットル直4ユニットを搭載するということで、当然期待がかかる。果たしてBMWが持つ洗練度にどこまで近づけるのかも気になるところだ。何よりボルボが「ガソリンとの価格差25万円」と言っているのに対し、XEは20万円で抑えてきた。これもまた絶妙な値付けである。

プレミアムモデルを買う人には5万円差なんて誤差レベルだろうけど、今後市場を拡大していくためにはこういう部分も重要。本気で購入を考えるのであれば、ディーゼルを待つほうが個人的にオススメです。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★

高山正寛│ ITS Evangelist(カーナビ伝道師)/カーコメンテーター/AJAJ会員
1959年生まれ。自動車専門誌で20年以上にわたり新車記事&カーAVを担当しフリーランスへ。途中5年間エンターテインメント業界でゲーム関連のビジネスにも関わる。カーナビゲーションを含めたITSや先進技術のあらゆる事象を網羅。ITS EVANGELIST(カーナビ伝道師)として自ら年に数台の最新モデルを購入し布教(普及)活動を続ける。またカーナビのほか、カーオーディオから携帯電話/PC/家電まで“デジタルガジェット”に精通、そして自動車評論家としての顔も持つ。

《高山 正寛》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る