X線天文衛星「すざく」、スペースデブリ発生防止に向けて作業を開始…軌道寿命は2020年代前半

宇宙 テクノロジー
X線天文衛星「すざく」
X線天文衛星「すざく」 全 1 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月3日に開催された宇宙開発利用部会でX線天文衛星「すざく」の科学観測を終了することを報告、了承された。

X線天文衛星「すざく」は、宇宙の高温プラズマの高精細な分光観測、高感度・広帯域の測光・分光観測によりブラックホール周辺物質の運動や銀河団の形成・進化の問題に新しい光を当てることを目的に、2005年7月10日にM‐Vロケット6号機によって打ち上げられた。

その後、観測運用の想定を大幅に超える約10年間にわたって継続し、広い波長域で世界最高レベルの感度を達成するなど、優れた観測能力を実証し、宇宙の構造形成やブラックホール直近領域の探査などで重要な科学的成果をあげてきた。

衛星搭載バッテリの劣化が進み、観測継続のためにバッテリの使用方法を工夫しながら科学観測を続けていたが、今年6月1日に、衛星の動作状況を知らせる通信が間欠的にしか確立できない状態が確認され、科学観測運用を中断した。

通信不良は電力不足に起因すると推測されたことから、衛星状況の把握に努めるとともに、復旧運用を模索。その後、約2か月にわたって衛星の内部状態の調査と復旧運用を行ってきたものの、2系統あるバッテリの片方の容量が失われたと推測できる事象が観測されるなど、衛星状態の回復が見込めない状況が明らかになった。これを踏まえ、科学観測再開に向けた努力を停止することを決めた。

現在は、運用終了に向けてJAXAのスペースデブリ発生防止標準に基づき、バッテリ切り離しを行うとともに、電波の使用停止の観点から、送信電波を停波する。ただ、ある確率でしか送信系の制御系への停波コマンドが通る状態にならないため、停波確認までには時間を要する見込み。

スペースデブリ発生防止標準に基づき、搭載の推進系燃料は排出済みだ。

現在の軌道寿命の予測値は2020年代前半の見込みで、「すざく」の軌道(高度約550kmの円軌道)は、国連スペースデブリ低減ガイドラインに基づき、定量的な要求が記載されているIADCスペースデブリ低減ガイドラインで示されている「運用終了後25年以内に地球再突入させること」を満たしている。このため、軌道低下運用は実施しない。

今後、停波確認後、公表する予定。約10年間の科学観測運用によって得られた科学的成果の詳細については、別途報告するとしている。

《レスポンス編集部》

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