【トヨタ RAV4 新型試乗】おそろしくスムーズなハイブリッド、まさに「至れり尽くせり」…中村孝仁

トヨタ RAV4 HEV Z
トヨタ RAV4 HEV Z全 32 枚

先代の試乗からすでにもう5年の歳月が流れたが、トヨタ『RAV4』というクルマは、依然として世界でもっとも販売台数の多いクルマのようである。

【詳細画像】トヨタ RAV4 HEV Z

新しいRAV4の大きな進化点としては、内外装の一新よりも実は運転支援体制の充実があるのではないかと感じた。とりわけ周囲に何があるのかを音声で教えてくれたり、今では当たり前の前車発進を知らせる案内も、「前の車両を確認してください」といったソフトな文言でのお知らせが、これも音声であり、さらには「まもなく信号が変わります」と言って、赤信号から青信号に変わるタイミングまで知らせてくれる。

この手の音声案内は、スマホが当たり前で、停止したほんの数秒間でも出られなかった電話が果たして誰からのものかとか、メールが誰から来たとかをチェックするうえでは極めて有益で、いずれは当たり前のシステムになると思う。改めて新しいモデルに乗ると、そうした進化が凄まじい勢いでコモディティー化している現実を、知ることになる。

◆今考えられる、ありとあらゆるサポート機能を有する

トヨタ RAV4 HEV Zトヨタ RAV4 HEV Z

例えば前車が速度を落とした時や、必要以上に速いスピードでコーナーに侵入した時などは、やんわりとブレーキをかけてくれる。これはBEVの『bZ4X』に試乗した時に初めて味わったが、要はクルマの方が人間に代わって、最低限の運転を支援する仕組みがすでに出来上がっていることを感じるわけだ。

とはいえ、多くのエンドユーザーは自動運転という言葉をはき違え、クルマがなんでもすべてやってくれると勘違いしている。確かにレベル4やレベル5なら自動運転と呼ぶことに異論はないが、それ以下の段階は正直なところ自動運転という言葉を使わない方が良いと思っている。

そうしたRAV4レベルの運転支援は、新たなソフトウェア作りのプラットフォーム、「Arene(アリーン)」を初めて採用したことによって、大きく進化したものになったようだ。今回は高速を使って移動する時間がなかったから、より広範な支援を体験できなかったのだが、とにかく今考えられる、ありとあらゆるサポート機能をこのクルマは有しているといって良いだろう。

◆「ハンマーヘッド系」が主流になる?

トヨタ RAV4 HEV Zトヨタ RAV4 HEV Z

デザインは最新のトヨタトレンドを反映したもので、フロントマスクはハンマーヘッドデザインと言うのだそうだが、シュモクザメにヒントを得たスタイルなのだそう。それに明確なグリルという概念を持たない、ボコボコと穴をあけたようなフロントエンドは、レクサスを含む近年のトヨタデザインの特徴でもある。

先代のモデルではグリルを明確に主張した、いわゆるストロングフェイスを持ったデザインで、今もアメリカなどでは主流となっているし、最近のアウディなんかもストロングフェイスが採用されている。果たしてトレンドがどちらに向かうのか、少し興味深い。個人的にはトヨタのハンマーヘッド系に移行する気がしてならない。

◆エンジンとモーターのやり取りが非常にスムーズ

トヨタ RAV4 HEV Zトヨタ RAV4 HEV Z

今回試乗したのは、ハイブリッドのZと呼ばれるグレードのモデルである。現行モデルから、ガソリン仕様は姿を消し、ハイブリッドもしくはPHEVに絞られた。価格的にもだいぶ上昇して、試乗車の場合車両本体価格が490万円。オプションを含めた価格は、514万3100円と結構なお値段になった。

エンジンは基本的に旧型からのキャリーオーバーで、2.5リットル4気筒だが、フロントモーターがパワフルになったことと、エンジンパワー自体も若干ながら引き上げられたという。もっとも走りに対して、顕著にそれが反映している印象は薄く、より顕著に感じたことは、エンジンとモーターのやり取りが非常にスムーズで、全く違和感を感じさせないところだと思う。

実は直前まで他ブランドのPHEVに乗っていたのだが、そのクルマはガソリンエンジンからモーター走行への変換、あるいはその逆が上手く出来ておらず、それなりのぎくしゃく感を伴ったのだが、RAV4の場合、それが全くスムーズに行われていて、あらゆる速度域で走りのスムーズさが顕著なことが、特に今回のモデルで実感した点である。同様に乗り心地も非常に優れている。

トヨタ RAV4 HEV Zトヨタ RAV4 HEV Z

インパネはメータークラスターも含めすべてデジタルディスプレイ化された。シフトレバーもお得意のエレクトロシフトマチックが採用されているが、従来のエレクトロシフトマチックでは、回生のBシフトと通常のドライブもしくはリバースへのシフトが、ニュートラルを起点に左右に分かれていたのが、今回はDに入れてさらに下方向に移動させると、Bに入る仕組みに変わった。Bをバックにと勘違いするユーザーが現実的にいるのだから、この方が誤操作はしにくいと思う。

◆旧型と比べてみると

このようにあらゆる面で至れり尽くせりに変わっているものの、少し不満に感じたことは、透過音が大きなことだ。エンジン音は回転を上げると明確に室内に侵入し、正直静粛性という点では、先代に対して劣る。これは我が家にいる旧型のRAV4と乗り比べて感じた点である。

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■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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