【注目軽&コンパクト】オールラウンド進化の軽自動車、“質”で上行くコンパクト…長距離比較

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【注目軽&コンパクト】オールラウンド進化の軽自動車、“質”で上行くコンパクト…長距離比較
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ここ数年で軽自動車の走りの性能は飛躍的に高まっている。一世代前のモデルは、近所の買い物や通勤のアシなどコミューターとしては過不足ないものの、週末にちょっと足を延ばして遠くまで遊びに行くとなると、ドライバーに少々負担がかかるのも事実だった。とくに人気が高いトールボーイと呼ばれるモデル達は、背の高さや重心の高さに対して、横幅が狭いという物理的に不利な条件があるので高速道路が不得手だったのだ。ところが最新モデルは走りの性能が高まっているため、その点もだいぶ進化している。

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次は軽自動車を選択するのもありかな? という意見もあれば、最近のコンパクトカーも気になる、という人もいるだろう。そこで今回は軽自動車2台とコンパクトカー2台で約300kmのツーリングに出かけることにした。ルートは新潟県・苗場を往復する関越道の高速走行がメインだが、険しいワインディングも含まれる。車両は軽自動車のなかでももっとも背高な部類の三菱『ekスペース』と、地上高を高くしてクロスオーバーSUVとしたスズキ『ハスラー』。コンパクトカーはオーソドックスなハッチバックの日産『ノート』に、コンパクトながら3列シート7人乗りを実現しているトヨタ『シエンタ』。バラエティ豊かな面々だ。

◆オールマイティに使える軽は?

最初にステアリングを握ったのはハスラー。同社を代表するモデル、『ワゴンR』よりも少し背高だが、高速道路でフラフラすることはほとんどなく、最新世代の実力の高さをうかがわせる。ただし、ステアリングから伝わってくるフィーリングには少し曖昧さがある。直進を保つためのわずかな修正舵を与えるときに、反応がやや遅れ気味でドライバーの操作量も多くなるのだ。エンジンパワーは80~100km/h程度のクルージングなら不満はない。登り区間でも必要十分だが、エンジンを高回転まで引っ張ると少々騒がしくなるのは、軽自動車にとって致し方ないレベルではある。ワインディングでは意外なほど軽快な走りにびっくりさせられた。絶対的に車両重量が軽いのがいい効果をもたらしているのだろう。街中でも走りは軽快で、これなら軽自動車でもオールマイティに使えることを認識した。

一方、もっと背の高いekスペースは運動性能がやはり不利。強めの横風が吹いているとボディがあおられる感覚があるのだ。それでもサスペンションは意外としっかりしていて、想像するよりはずっとフラフラ感が抑えられていた。ワインディングでも楽しいとは思えないが、不安はない。ただし、ハスラーと同じくステアリングの修正には少し気を使う面もある。操舵感が軽いのは街中での取り回しは楽でいいのだが、高速道路ではもう少しドシッとした感覚が欲しくなる。パワーに関しては、軽自動車としては重い車両重量に対して660ccのNAは高速道路で少々力不足。合流地点など、時に素早く加速させたい場面ではもどかしい思いをする。

◆コンパクトカーの安定感を検証

ekスペースからノートに乗り換えると、低全高かつ全幅も広いということがあってどっしりと落ち着いていた。同じペースで走っていても、速度がゆっくりに感じられるほどだ。パワーステアリングも1ランク上のユニットというフィーリングで、直進時の自然な修正感覚がある。コーナリングもリラックスしてペースを上げることが可能だった。エンジンはさすがに排気量が大きいことによる低回転域のトルクの余裕がある。ただし、アクセルを強く踏み込んでいくと少し騒がしい。軽自動車よりはマシだが細かな振動も入ってくるので、完全に快適とは言い切れなくなる。

ノートに比べると背が高いシエンタだが、運転席に座ったときの安心感はもっとも高かった。ダッシュボードが少し高めに設定されていて囲まれ感がある。それでいて圧迫感がないのはダッシュボードが適度に遠ざけられているからだ。また、シートの出来の良さも安心感の源になっている。座面後部が低めで、前部が高めなので、自然とお尻の位置が安定する。クルマが走っているときに生じる前後左右への揺れがあっても、身体がブレないので安心感があるのだ。

背は少し高めだが、安定感も4台のなかでもっとも高かった。路面が荒れていたり横風が吹いてもフラフラすることなく、むしろ低重心な感覚でどっしりと構えている。これは、今回の試乗車がハイブリッドだったことも関係しているだろう。車両重量は少し増すが、重い物はなるべく低い位置に配置するよう心がけているからだ。こういった特性はワインディングでも威力を発揮していた。コーナーでペースをあげても、クルマの傾きはさほど感じない。路面がデコボコしているところでも、サスペンションがしなやかな吸収性を発揮して、ボディが無用に上下することはなかった。操縦安定性の高さとともに、走りの質が高いのだ。

今どきの軽自動車はたしかに進化していて、ロングドライブには適していないなどということはなくなった。それは、以前よりもずっとリーズナブルなコストで軽量・高剛性な鋼鈑が使えるようになり、構造設計も進化したことで、走りの基本を支えるボディが良くなったことが大きな要因だ。

だがそれはコンパクトカーにとっても同じように進化をもたらしていることを、今回のツーリングで再認識した。ノートは低い重心と広い幅による安定性を、シエンタは、振動を抑えた快適なフィーリングを与える。これはロングドライブでは乗員の疲労を軽減する効果も高い。軽自動車は、あらゆる場面で不満のない乗用車へ進化しているが、最新のコンパクトカーは、それに質という付加価値を伴うまでになっているのだ。

《石井昌道》

石井昌道

石井昌道|モータージャーナリスト 自動車専門誌の編集部員を経てモータージャーナリストに。国産車、輸入車、それぞれをメインとする雑誌の編集に携わってきたため知識は幅広く、現在もジャンルを問わない執筆活動を展開。また、ワンメイクレースなどモータースポーツへの参戦も豊富。ドライビングテクニックとともに、クルマの楽しさを学んできた。最近ではメディアの仕事のかたわら、エコドライブの研究、および一般ドライバーへ広く普及させるため精力的に活動中。

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