ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」最新作にセーラー10戦士、勢揃い

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『美少女戦士セーラームーン』-Un Nouveau Voyage-(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)(C)Naoko Takeuchi (C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2015
『美少女戦士セーラームーン』-Un Nouveau Voyage-(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)(C)Naoko Takeuchi (C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2015 全 8 枚 拡大写真

高浩美の アニメ×ステージ&ミュージカル談義
連載第145回

■ 初の海外公演も成功、セーラー5戦士、ついに卒業公演、ストーリーは”デス・バスターズ編”

一昨年から”復活”したミュージカル『美少女戦士セーラームーン』、テレビ(TOKYO MX)では現在、『美少女戦士セーラームーンCrystal』がオンエア中だ。
1990年代の代表的な少女漫画で、『なかよし』に連載されると同時期にアニメ化、ミュージカルも『美少女戦士セーラームーンR』のオンエア中の1993年の夏に『美少女戦士セーラームーン外伝 ダーク・キングダム復活篇』として初演を迎えている。キャラクターの設定は基本はテレビアニメをベースとしていた。
2005年の冬公演以降は上演がなかったが、作品の20周年記念プロジェクトとして2013年より再び始まり、キャストは全員女性にして一新、2015年の今年、初の海外公演も果たした。国内外問わず知名度は高く、海外での公演も盛況だったと聞く。

そして、今回は2013年からセーラー戦士として活躍していた5戦士の卒業公演でもある。さらに今回の公演ではセーラー戦士10人が揃う。ストーリーは”デス・バスターズ編”、単行本では6~8巻(新装版)、完全版(大判のもの)では6~7巻の部分となる。セーラー戦士10人が勢揃い、物語も大きな山場、ドラマチックな展開、感涙必至な部分である。
なお、10月4日の大千秋楽公演のチケットは完売、手に入らなかったファンのためにライブ・ビューイング(スペシャルイベントの大卒業式も生中継)とニコ生配信(10月12日までタイムシフト視聴可能)が決定している。また、台湾、香港の映画館でもライブビューイング実施が決まっている。

■ 歌われるナンバーは合計23曲、ミュージカルとしても進化、セーラー戦士の戦いぶりは必見!

出だしは、人気アーティスト・はるかのラストコンサートシーン。ミーハーな5人、なかでも美奈子は筋金入りで頭にハチマキ、手には応援ウチワ。もうキャーキャー、ワイワイな5人。原作を知っている観客は、これから壮絶な戦いが始まるというのは先刻承知である。だからこそ、この能天気なシーンはアクセントになる。
このはるかがいる無限学園の体験入学があると聞き、浮ついた気分で、のこのことやってくる5人。しかし、ドジでお間抜けなうさぎは、体験入学出来なかった。ところが、この無限学園、怪しさ満点。生徒に扮したウィッチーズ5の攻撃を受ける。ここから、ファンならよく知っている物語が始まるのである。

月野うさぎ役の大久保聡美始め、今回の公演で卒業する5人、芝居に歌にアクション、ダンス、格段に上手くなっており、安定感もあって、立派な”セーラー戦士”だ。ゲネプロではちびうさは神田愛莉、『ドン・ドラキュラ』等で活躍、”お姉さん”方と共に大活躍だ。
今回、新しく登場した外部太陽系のセーラー戦士たち、皆、キャラクターの特徴をよくとらえており、さらに存在感もあって、頼もしい。タキシード仮面もマントを翻して颯爽と登場、大和悠河の当たり役、と言えよう。今回の物語の鍵を握る土萌ほたる演じる高橋果鈴は、歌唱力抜群で、1幕終わり近くのちびうさとのデュエットは、聴かせどころ、少々難易度の高い楽曲を綺麗に歌いこなしており、ここは涙ホロリな場面だ。

また今回の舞台はプロジェクション・マッピングを効果的に使用している。背景はもちろん、各セーラー戦士が技を繰り出す様は迫力がある。
楽曲も多彩で変化に富み、難易度の高いものが多く、皆、健闘して歌い上げていた。原作よりコミカルな印象で、セーラーヴィーナスが敵をだますためにセーラームーンになりすましのシーンは抱腹絶倒。なりきり度満点なのだが、途中で”フェイクお団子”を頭からポロリと落とし、わざとらしくあわてふためくところ、坂田しおりのコミカルな演技が光る。
また、相談しようと言ってラーメンの出前をとってみんなでちゃぶ台を囲むシーンは、これから敵とどう戦うのか話し合わなければならないはずなのに食べるのに夢中で緊張感ゼロ。実はこの2つのシーンは舞台だけのオリジナル。
こういった”お笑い”はストーリーのスパイスになっており、『美少女戦士セーラームーン』を知り尽くした平光琢也だからこそ出来る演出、”芸当”ではないだろうか。また、うさぎを小馬鹿にするちびうさとむきになるうさぎの掛け合いも”お約束感”満載、大久保聡美&神田愛莉、息も合って楽しい。

ミュージカルとしても”進化”しており、1幕終わり近くの重唱はハーモニーが美しく、かつ重厚で、間違いなく観客は高揚出来るシーンだ。2幕のうさぎが敵に向かっていくシーン、各セーラー戦士が力を合わせて技を繰り出すシーン等は文句なく感涙出来る場面。今回のナンバー合計23曲、絶えず歌が入る印象、稽古も大変だったに相違ない。

各キャラクターの心理状況もよく描かれており、原作の力だけでなく、脚本・演出・振付・音楽といった全ての部門の歯車がピタリとかみ合い、全体としてメリハリもはっきりしており、しかもスピーディーなステージングとなっていた。最後の方で、サブタイトルにある、Un Nouveau Voyage(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)という言葉が入った楽曲、卒業にふさわしいもので、5人の勇姿がもう観られないと思うと、ちょっと感傷的になる。また、アイア2.5シアタートーキョーは間口が広いので、セーラー戦士勢揃いの場面、1列に並ぶとかなり圧巻であった。
そしていったん幕となり、その後はちょっとしたショータイム、そしてあの名曲『ムーンライト伝説』を合唱、キャストの面々はリアルなセーラームーン世代、ここはかなり楽しそうで、振り付きで歌って締め、となった。

『美少女戦士セーラームーン』-Un Nouveau Voyage-(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)
(C)Naoko Takeuchi (C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2015

なお、ゲネプロ終了後に囲み会見があった。登壇したのは大久保聡美(セーラームーン/月野うさぎ)、小山百代(セーラーマーキュリー/水野亜美)、七木奏音(セーラーマーズ/火野レイ)、高橋ユウ(セーラージュピター/木野まこと)、坂田しおり(セーラーヴィーナス/愛野美奈子)、そして大和悠河(タキシード仮面/地場衛)の6名。

大久保は「去年は一昨年と比べると成長したかな?今年はさらに成長した姿を見せたいですね」と挨拶。大和は「3年目で、5戦士、卒業公演というのはいろんな思いが飛び出して各々の力が発揮されるので、まもちゃんらしく支えていきたいですね」と流石のタキシード仮面様な発言。小山は「みんなの愛がつまっています。いろんな思いを届けたいです」とコメント。七木は「みんなを信じて頑張ります!」と語る。高橋は「3年目で新しい戦士が加わりましたが、みんな、かっこよくってパワフル!みんなに助けられて稽古に励んできました。みんなでパワーアップしたいです!」とセーラージュピターらしく元気のよい発言。坂田は「楽しくってあっという間に終わっちゃう~。集大成だったねって思って頂けるように頑張りたいです!」と正直なコメント。

見どころは?の質問に大久保は衣装を指して「スーパーセーラームーン!(今回は)みんなを支える立場で物語を作っています。そして~まもちゃんとはるかさんのイチャイチャシーン!はるかさんの時に、真っ赤になってしまいました(笑)」と語ったが、その”はるかさん”、演じるは汐月しゅう(セーラーウラヌス/天王はるか)、流石の宝塚歌劇団出身の男役、立ち姿もキマっており、ダンス、アクションもかっこよく、中性的な魅力で演じきっていた。
また大和からは「タキシード仮面の曲が変わりました!」と自分PR。小山は「ちびうさとほたるが2人で歌うところ!!稽古場で泣きました!」とコメントしたが、ここのデュエットは聴きどころ。美しいハーモニーで、ここは感涙必至。
七木は「今までは4戦士がうさぎを支えてきましたが、今回はうさぎに支えられます」とコメント。高橋は「10戦士、揃った時は迫力です!キラキラしたもの、乙女の心がキラキラしてます、お芝居も歌も!」と語る。
坂田は「今回はみんな一緒のシーンがあるので安心かな?ラーメンのシーンが好きです!ここはみどころです!」とコメントしたが、ここは皆”色気より食い気”的雰囲気。そして卒業という点に関して大久保は「夢の中にいるような感覚」とコメントしたが、まだ、開幕したばかり、実感がわかないのが正直なところであろう。
大和は5人に対して「出会った時はみんな舞台慣れしてなくって……そんな5人がどんどんたくましくなっていって……1年毎に会ってるから、本当に頼もしくなった!みんな、仲いいし」とコメント。

そして登壇していない、他のセーラー戦士についての感想は?という質問が出た。高橋は「(汐月)しゅうさん、かっこいい!でも普段は可愛い!」そして小山からは「セーラーサターン役の高橋果鈴ちゃん、スマイルがいい!」とコメント。
七木からは「石井美絵子さん(セーラープルート)は歌が鳥肌!かっこいい!」とコメント。2幕でソロがあるが、歌唱力も高く、感動的な仕上がりであった。
坂田からは「セーラーネプチューン演じる藤岡沙也香さん!あんなにネプチューンが似合う方って!!でも男前な方です。一緒にご飯食べにいったりして、お姉さんとしてリーダーシップとって頂いています」とコメント。最後に大久保から「ちびうさがしっかりしてる!でも子供の一面もちゃんとあって、2人(神田愛莉、久家 心)とも可愛い娘です」と締めくくった。
終始、笑顔の6人、カンパニーの結束の固さを感じる会見であった。

なお、アイア2.5シアタートーキョーのカフェでは公演にちなんだ特別メニューも販売、”悠河に参上!まもちゃん特製ロールケーキ”等、ベタなネーミングが多いが、お味は上々。東京公演中(~27日まで)のみの販売なので、こちらも体験したい。

なかよし60周年記念公演 ミュージカルミュージカル『美少女戦士セーラームーン』
-Un Nouveau Voyage-(アン ヌーヴォー ヴォヤージュ)
[東京公演]
2015 年 9 月 18 日~9月27日
AiiA 2.5 Theater Tokyo
[大阪公演]
2015年10月2日~10月4日
サンケイホールブリーゼ
(C)Naoko Takeuchi (C)武内直子・PNP/ミュージカル「美少女戦士セーラームーン」製作委員会 2015

《高浩美》

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