【GARMIN fenix 3J インプレ後編】全天候型アクティブリストウォッチの最高峰、他の追随許さぬ多機能性と拡張性

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ライフログの画面。GARMINコネクトに表示されるのとほぼ同じグラフなので分かりやすい。
ライフログの画面。GARMINコネクトに表示されるのとほぼ同じグラフなので分かりやすい。 全 18 枚 拡大写真

高度計、気圧計、電子コンパス、さらにはGPSやGセンサー、各種の通信機能など独自機能を搭載したオールラウンドなアウトドアウォッチの最新モデルがGARMIN『fenix 3J』。インプレ前編でそのアウトラインを解説したが、後編では従来モデルから継承された機能も交えながら実際の使用感を紹介しよう。

◆表示品質が使い心地を根本的に変えた

本機はGPSを搭載していて、散歩や買い物でのウォークを、コースも含めてアクティビティ(運動)として記録することができる。その意味ではフィットネスバンドを超えているといえるだろう。また、同等の機能を持つスマートウォッチも多いが、GPSモードで20時間、ウルトラトラックモード(測位の頻度を減らしたモード)で50時間、GPSを切っておけば6週間という長寿命なバッテリーを搭載している点がアドバンテージだ。

腕時計として普段使いした場合、すぐに便利だと感じられるのはスマートフォンとの連携による通知機能だ。スマートフォンに電話やメールの着信があれば、本機がバイブで知らせてくれる。TwitterやFacebook、LINEでも通知機能は有効だ。

従来機種の『fenix 2J』にも同様の機能があるが、ここで大きな意味を持つのがディスプレイの違いだ。fenix 2Jの70×70ピクセルでは僅かな情報しか表示できない。それに対して、fenix 3Jの218×218ピクセルのディスプレイは、細かく情報を表示できる。メールにしても、かなりの長文でもスクロールしながら快適に読むことができるのだ。

さらに、通知機能はスマートフォンで管理しているスケジュールや天気予報も表示できるほか、音楽プレイヤーのリモコンとして使うことも可能だ。最近のスマートフォンは大きいのでポケットでなくカバンの中にしまっている人も多い。筆者もその一人だが、混雑した電車の中でも腕時計でメールをさっとチェックできるのは非常に便利だ。音の出せない場所でも腕時計のバイブなら確実に気がつくという利点もある。

ただ、本機が多機能ゆえの意外な問題点もあった。バイブが作動するのでディスプレイを見ると、通知機能ではなくムーブバーだった、ということがよくあるのだ。ムーブバーはライフログの機能で、一定時間動きがないと、運動するように促す機能。バイブの振動パターンを変えるなどして、通知機能と区別できるようにして欲しい。

普段使いではいわばメイン画面となる、時計の画面もディスプレイの表現力が生かされている。デジタル表示の他にアナログ表示が可能になったのだが、針の動きがリアルに再現されており、カレンダーまで表示される。また、本機から新たに搭載されたカスタマイズ機能を使えば、さらに様々な表示が可能だ。

カスタマイズ機能は最近のGARMIN製品に共通して搭載されるようになった機能で、スマートフォンでのアプリのようなものだ。専用サイトの「Connect IQストア」からソフトウエアをダウンロードすることで、さまざまなカスタマイズができる。ソフトウエアにはウォッチフェイス、アプリケーション、ウェジェット、データフィールドがあり、ウォッチフェイスを利用すれば個性的な時計表示が可能となる。

◆近所の散歩から本格的な登山まで対応、外部センサーと組み合わせてより本格的に使うことも

多彩な機能を持つ本機だが、「本職」は登山やトレッキングのパートナーだ。高度、気圧、方角の表示はもちろん、移動に伴って高度が変化していることを検出すると、登っていると判断して自動的に高度関係のページを表示する機能もある。また、日本百名山のポイントデータと、日本全国に点在する山小屋、避難小屋の位置情報を内蔵しており、ナビゲーションさせることもできる。

このようにABCウォッチとしての機能としては完璧。ただ、本機にはこれまで付属していたベルクロのバンドが付属しなくなった。ベルクロのバンドはジャケットの袖の上から装着することが可能な登山向けのバンドだ。もちろん別途購入することが可能だが、付属しなくなったことは、本機が普段使いやアクティビティでの使用を想定した製品にシフトしていることを感じさせる。

本機はスキーやハイキング、トレイルラン、バイク、ウォーク、スイムなど、移動を伴うほとんどのスポーツで距離やペース、ラップタイム、コースの記録ができる。Gセンサーを活用することで、屋内トレーニングにも対応可能だ。ラップタイムは一定の距離、あるいはスタート地点に戻ると自動的にラップタイムを取得。また、バイブやビープ音で一定のリズムを刻むメトロノーム機能も搭載するなど、多機能であり、さまざまなスポーツで活用することができる。

とくにランニングウォッチとしての機能は本格的で、GPSのデータだけでなくGセンサーで走行のピッチ、接地時間、上下動を測定。そこから理想的なフォームでのランニングができているか解析するランニングダイナミクス機能を搭載している。また、体内に取り込むことのできる酸素の最大量を測定するVO2max機能もあり、さらにこの機能から5km、10km、ハーフ、フルマラソンの予想タイムを推定する予想タイム機能も搭載している。

これらの機能はランニングウォッチの中でもかなりハイクラスのモデルでなければ搭載していない機能であり、コストパフォーマンスは非常に高いといえるだろう。

さらに、本機はさまざまなオプションセンサーと組み合わせることでより本格的にスポーツの測定ができる。対応するオプションセンサーはハートレートセンサー、フットポッド、ケイデンスセンサー、スピードセンサー、『Vector J』(自転車用パワーメーター)、温度センサー、ジオキャッシュビーコン。さらにはGARMINのアクションカメラである『VIRB-J』と無線接続し、そのリモコンとして使うことも可能だ。

これらのアクティビティ計測機能についてはほんの一部しか試用できなかったが、まず特筆したいのは、どの機能にも必要なGPS捕捉までの時間が、さらに短縮していることだ。かつてのランニングウォッチでは、GPSを起動させてから衛星を補足するまでに、数分の時間を要し、それまでスタートせずに待っている必要があった。新製品が出るたびにその時間が短縮されてきたが、本機ではついに2~3秒という、実質的に待ち時間なしを実現している。測位精度も従来モデルより明らかに向上した。

また、いずれの機能でも高精細化されたディスプレイの恩恵が大きいことが印象深い。例えば、10種類以上あるアクティビティから目的のスポーツを選択するとき、fenix 2Jでは1画面に表示されるメニュー項目は3つだったが、本機では5つに増えた。しかもカラーのアイコン付きで表示されるから視認性・操作性は格段によくなっている。各種の数値やグラフも読みやすく、使っていて気分がいい。一度このディスプレイを見てしまうと、もうfenix 2Jには戻れないというのが、正直な感想だ。

《山田正昭》

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