センサーとクラウドをフル活用…農業ノウハウをITでレシピ化

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「e-kakashi」子機。スイッチひとつで3年間駆動する。
「e-kakashi」子機。スイッチひとつで3年間駆動する。 全 3 枚 拡大写真

 農業分野へのITの進出に注目が集まっている。ソフトバンクの100%子会社であるPSソリューションズも7日、都内で農業IoT「e-kakashi」の発表会を行った。

 今回同社が発表したのは、栽培地に設置する機器とそれを閲覧するダッシュボード。機器としては子機(センサーノード)と親機(ゲートウェイ)から構成される。子機には多点温度センサー、温湿度センサー、日射センサー、土壌水分/ECセンサーがデフォルトのセンサーとして搭載されている。なお、センサーは将来拡張可能。親機と子機はアドホックネットワークで通信し、1キロメートルくらいまでは通信ができるとしている。子機から集めらたデータは親機を通してクラウドに集約され、ユーザーはダッシュボードでデータ閲覧ができる。ソフトウェアには「ekレシピ」と言われる機能が搭載されているが、これはいわば、その土地の条件の気候や条件変動にどう対応したら作物が適切に育つのか、ノウハウを集約した料理のレシピのようなものだ。これを見ることにより、これまで勘だけに頼ってきた栽培から脱却することができるのではないかという。同社農業IoT推進部部長の山口典男氏の言葉を借りれば「科学的な農業を実現する」ソリューションとしている。

 同社が現状の農業の問題点としてい挙げたのは、15年間で農業従事者数が40%減少していること、5年以内の定着率が30%に満たないこと、テクノロジー・ITの技術よりも勘が重要視されていること、などがある。

 ただし、宮城県栗原市のJA栗っこ農業協同組合の常務理事である高橋英夫氏は、小規模農家というよりはある程度スケールの大きいところで、一定量・一定品質の作物を作る場合に適しているのではないかと分析する。今採用しようと考えているのは米だという。「伝統的な経験と勘だけでは継承しきれないので、ツールとして数値化してデータ提供したい」と話す。

 同社の農業IoTは作物の状態を知るというものではなく、その環境を知るというもの。作物の状態確認は従来通りとなる。この点について山口氏は「(作物の状態を知るセンサーという点で)実はいくつか実験的につなげられるものとしては、ユーザーの意向でコーディネートしていこうと考えている。例えば、樹液流とかいくつかのセンサーを実験している。ただし誰でも使えるというレベルになっていないので標準ラインナップには載せていない」と話す。

 おそらく、今回のソリューションのキーになるのは前述の「ekレシピ」だろう。山口氏によると、芽が出るフェーズ、葉がでるフェースなどひとつひとつのフェーズごとに最適な状況が、見える化されるということだ。「(従来)継続的に知識とデータを照らし合わせていくことは工数的に難しかったが、これによって安定的な作物の生産に波及できる。圃場で起こっていることを見える化して、それを運営している生産者が知ることができ、次の施策をうつための情報が提供できていることが大切だ」とした強調する。また、そのデータは自分だけで悩むだけではなく、専門家と共有しながらアドバイスをもらったりすることも可能になるとしている。環境や条件が変わった時に、それに対応するための技術指導を行う指導員のリソースを多くの生産者が享受できるようになる点もメリットだという。

農業のノウハウをITでレシピ化する!農業IoT「e-kakashi」発表

《編集部@RBB TODAY》

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