落橋防止装置などの不良品、ダムや競馬にも

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落橋防止装置等の溶接不良に関する有識者委員会(13日)
落橋防止装置等の溶接不良に関する有識者委員会(13日) 全 2 枚 拡大写真

久富産業(福井市)が製造過程で行った溶接不良と思われる不具合が、京都市・鴨川にかかる国道24号の勧進橋の落橋防止装置で発見されて以来、同社製造の装置を中心に調査が進められている。

すでに、全国の国道や高速道路98橋に問題がある装置が取り付けられていることが判明。地方自治体が管理する橋の調査が加わると、その数字はますますふくらむことが予想される。

意外な場所にも影響は及んでいる。西日本旅客鉄道の和歌山紀勢本線の2か所の橋でも同社の落橋防止装置などが使われていた。16基の装置のうち3基で溶接部の内部に傷があることがわかった。

中央競馬会が管理する橋でも調査が進む。府道京都守口線から京都競馬場に出入りする跨線橋にも26基の装置が取り付けられている。不具合があるかどうかは現在、調査中だ。

水資源機構の県道併用のダム管理用道路や駐車場にかかる橋2か所にも見つかった。

さらに、同社以外の製品にも不良品が見つかった。そのことで、国土交通省は、装置の受注を請け負った会社による自主調査やサンプリング調査を通じて、不適切な行為を行った可能性のある製造会社を、10月末までに特定するように命じている。

落橋防止装置は、設計の想定を超える地震を受けた場合に橋げたの落下を防止する。同様の装置には、地震で橋げたが水平にずれることを防止する変異制限装置があり、これらを含めて溶接不良が見つかっている。

13日に開催された「落橋防止装置等の溶接不良に関する有識者委員会」では、勧進橋での溶接不良装置の部材を使った引張試験の結果が報告された。問題の溶接か所は非破壊検査では傷が発見されていたものの、既定の強度で溶接部分が破断することはなかった。ちぎれたのは、溶接部分ではない母材の部分だった。

橋は想定を超える地震が発生しても、橋台がすぐに損傷を受けたり、破壊されるわけではない。さらに想定外の事態に備えて落橋防止装置が取り付けらている。

有識者委員会では、補強・補修をしていくまでの間で、落橋防止構造が必要となる事態に至る可能性は相当に小さいと考えられると報告がなされた。

ただ、これまで見つかった不具合のすべてが勧進橋と同様の結果になるとは限らないことから、国交省はこれまでに確定している98橋すべての不具合について、補修や装置の交換などの対応を行う。

《中島みなみ》

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