JR西日本、無線制御システムの走行試験を公開…京都~園部間で

鉄道 テクノロジー
JR西日本は同社が開発している無線を使用した列車制御システムの試験走行の様子を報道陣に公開した。試験に使用されている試験車編成「U@tech」
JR西日本は同社が開発している無線を使用した列車制御システムの試験走行の様子を報道陣に公開した。試験に使用されている試験車編成「U@tech」 全 7 枚 拡大写真

JR西日本は10月15日、同社が開発を進めている無線を使った列車制御システムの走行試験を報道陣に公開した。同社の試験車両「U@tech」が山陰本線の京都~園部間を往復し、無線で速度制限や緊急停止などの情報を受信しながら走る試験を行った。

同社が試験を行っているのは「車上主体列車制御システム(無線式)」と呼ばれるシステム。JR東日本が仙石線(宮城県)で使用している同種のシステム「ATACS」をベースに2008年度から開発を始め、2012年度からは山陰本線の亀岡~園部間約14kmに設備を設け、走行試験を行っている。

新システムでは、列車が自車の位置情報を無線で地上側の装置に送信。地上装置は前を走る列車との間隔などをもとに、停止位置の情報を列車に無線で送る。情報を受信した列車は、車両に搭載した装置が停止位置までに停まれるよう制限速度を計算し、その速度を超えないよう制御する。

これまでの自動列車停止装置(ATS)では、列車が停止や速度制限などの情報を受信できるのは、線路内にある地上子の上を通過した時だけだったが、新システムでは無線によって情報を常時送受信するため、きめ細かい制御を行うことが可能になり、安全性が向上するという。

また、列車に直接情報を送るため線路沿いの信号機が不要になるほか、無線の送受信は沿線に1.5km~3kmおきに設置した装置との間で行うため、線路内に地上子を設置する現行のシステムに比べて地上設備を簡素化でき、メンテナンスの安全性や効率が向上するメリットもある。

この日は午前中に京都~園部間を1往復し、システムの試験は亀岡と園部の間で実施。車内に無線機器や制御装置を搭載した試験車両「U@tech」を使用し、現在使用しているATSから新システム区間へ進入する際の自動切り替えや、踏切の非常ボタンが押された想定の情報を受信しての緊急停止、速度制限による減速などをテストした。

同社は2017年度までに実用化のめどをつけたい考え。同社鉄道本部技術開発部の木村秀夫・技術主幹は「実用化に向けてシステムの安全性の評価を行っており、試験の中で出た課題を改良していきたい」と話していた。

《小佐野カゲトシ@RailPlanet》

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