【ホンダミーティング15】4輪独立型ピュアEVを試乗…タイヤ1輪ずつにモーターを搭載

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ホンダ 4輪独立型EV CR-Z
ホンダ 4輪独立型EV CR-Z 全 12 枚 拡大写真

今年6月にアメリカ・コロラド州で行われた過酷なヒルクライム競技、パイクスピーク・ヒルクライム2015のエキジビジョンクラスに『CR-Z』を4輪独立型ピュアEVに仕立て直したマシンで挑んだホンダ。山野哲也選手のドライビングによってタイム10分23秒829、同クラス1位、総合11位という成績を打ち立てたそのマシンのパワーセーブ版を本田技術研究所のハンドリングコースで走らせてみた。

「Electric SH-AWD with Precision All-Wheel steer」と名づけられた駆動システムは、市販ハイブリッドカー用の電気モーターを1輪に1個ずつ装備し、各輪の出力を独立して制御するというもの。ホンダはこれまでもスーパーハンドリングをうたうスポーツ4輪駆動システム「SH-AWD」をリリースしてきた。ことクルマの動きを駆動力配分の自由度という点については、独立型のこのシステムはデファレンシャルギアでパワーを分配する他の方式と比べても圧倒的に優位であることは間違いないところだろう。

…という前提に立ちつつドライブをスタート。1kmの短い距離だが、全区間コーナーしかないという面白いコースだ。高速コーナーで徐々にスピードを上げるが、四輪のモーターを駆動から回生ブレーキまでバラバラに制御することがクルマ動きをどのように作るのかがイメージできていないのに加え、ヨーとロールの相関が何となく普通のクルマと違うように感じられたこともあって、おっかなびっくりだ。

同乗した研究所のエンジニアが「スロットルを踏んで曲がるというイメージで行くといいですよ」とアドバイスをくれた。ハイグリップタイヤを履いているので、少々の旋回Gでどうにかなるものでもあるまいと意を決してコーナー入口で試しにスロットルを深く踏みこんでみたところ、ぐりぐりと曲がる曲がる。あえて言葉にすれば、コーナーのクリッピングポイントに付く手前からもうコーナー出口にはじけ飛ぶような感じで、たしかに普通のクルマにはない面白い感覚だった。

4モーターEVはモーター4基に制御ユニット4基、さらにそれらを統合制御するコンピュータが必要で、現時点では市販に耐えられるだけのコストにはなりそうもない。が、どんな路面で四輪をバラバラに動かしてもクルマの動きが破綻しないような制御プログラムを作ることが可能なのであれば、未来世界では電動車もこういう方向に向かっていたりするのかなと思わせるに十分以上のパフォーマンスとプレジャーであった。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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