【東京モーターショー15】住友ゴム、新材料開発技術「アドバンスド 4Dナノデザイン」が完成

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耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ(東京モーターショー15)
耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ(東京モーターショー15) 全 4 枚 拡大写真

住友ゴム工業は、研究を進めてきた新材料開発技術「アドバンスド 4Dナノデザイン」が完成し、同技術を採用したコンセプトタイヤ「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」を「第44回東京モーターショー2015」に参考出品すると発表した。

今回完成したアドバンスド 4Dナノデザインは、低燃費性能、グリップ性能、耐摩耗性能という、相反するタイヤの三大性能を高い次元で両立するための新技術。ナノからミクロンレベルまで、ゴムの内部構造を連続的かつ鮮明に解析し、シミュレーションすることができる。

新技術では、大型放射光施設「SPring-8」でゴムの構造解析を行い、大強度陽子加速器施設「J-PARC」で運動解析を行うことで、ゴムの内部構造と分子の運動を鮮明に観察することが可能。これにより従来、見ることができなかったシリカ界面ポリマーの構造や運動、硫黄架橋の不均一性・硫黄架橋長さ分布、シリカネットワークの運動などを捉えることに成功した。さらに、スーパーコンピュータ「京」によって、広い領域を分子レベルでシミュレーションすることで、ゴム内部のストレスや発熱が発生している箇所を同時に特定することが可能となった。

このシミュレーションで原子、分子の動きを詳細に解析した結果、ゴム内部のストレスや発熱を発生させている原因が、シリカネットワーク運動、架橋構造、シリカ界面ポリマー運動と密接に関係していることが判明。同社は、このストレスを発生させる原因を低減することで、相反性能であるタイヤの三大性能を向上できる新技術「ストレスコントロールテクノロジー」を開発した。

同社が耐摩耗性能に着目して観察した結果、従来のゴムではゴムが変形する際に、局部的ストレスが掛かるとゴム分子に隙間ができ、摩耗の原因となる「ボイド」と呼ばれる空隙が発生する。これに対して、ストレスコントロールテクノロジーを適用したゴムでは、ボイドの発生原因となるストレスを高次元にコントロールすることで、その発生を抑制し、同時に発熱もコントロールすることが可能になる。これにより、低燃費性能、グリップ性能を維持しつつ、耐摩耗性能を飛躍的に向上させるゴムの開発に成功した。

この成果を用いたコンセプトタイヤが「耐摩耗マックストレッドゴム搭載タイヤ」。このコンセプトタイヤのトレッドゴムは、低燃費性能とウエットグリップ性能を維持しながら、耐摩耗性能を200%に向上させることに成功している。

同社では今回完成したアドバンスド 4Dナノデザインを活用し、材料開発のスピードをさらに上げ、今後も、高性能で経済性と環境性に優れたタイヤの提供を目指していく。

《纐纈敏也@DAYS》

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