【スーパーフォーミュラ 最終戦】石浦宏明、初のチャンピオンに輝く…第2レースは山本尚貴が完勝

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2015年のスーパーフォーミュラを制した石浦宏明。
2015年のスーパーフォーミュラを制した石浦宏明。 全 17 枚 拡大写真

全日本選手権スーパーフォーミュラ(SF)最終戦鈴鹿は、8日午後、決勝第2レースを実施し、山本尚貴がポール・トゥ・ウインで今季初優勝を飾った。ホンダエンジンも今季初勝利。そして石浦宏明が初のシリーズチャンピオンに輝いている。

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第2レースは28周、約163kmの中距離設定で、ドライタイヤでスタートした場合に4輪タイヤ交換1回の義務があるが、第1レースに続いてウエットコンディションでの戦いとなったため、この規則は実質無効化。今回も路面状況急変等がない限り、全車ノーピットが基本の戦いとなる。チャンピオン争いは、予選7位の石浦(#38 P.MU/CERUMO・INGING/トヨタ)が決勝8位以内に入れば自力王座。唯一、逆転の可能性を有するのは予選4位の中嶋一貴(#1 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)で、自身優勝、かつ石浦9位以下の場合に奇跡の大逆転となる。

スタートは、その直前に5番グリッドの小林可夢偉(#8 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)のマシンの前輪からブレーキ関連の過熱が原因と思われる出火があり、フォーメーションラップやり直しに。可夢偉は最後尾にまわされ、レースは27周へと1ラップ短縮された。

今度こそのスタート、ここでイン側から素晴らしいダッシュを見せたのは4番グリッド発進の一貴だった。しかしトップまでは惜しくも届かず、1周目終了のオーダーはポール発進の山本尚貴(#16 TEAM 無限/ホンダ)が先頭、それに一貴、野尻智紀(#40 DOCOMO TEAM DANDELION RACING/ホンダ)、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ(#19 LENOVO TEAM IMPUL/トヨタ)、アンドレ・ロッテラー(#2 PETRONAS TEAM TOM’S/トヨタ)、そして6番手に石浦という形勢になる。

序盤、オリベイラが野尻をパスして3番手へ。その後、前半のうちに野尻とロッテラーがリタイアしたため、石浦は4番手に上がる。トップの山本が2番手の一貴を引き離していく状況でもあり、この時点でチャンピオン争いはほぼ終焉という雰囲気にもなった。上位4人の順位はその後も動かず。山本がポール・トゥ・ウインで今季初優勝を達成し、ホンダも今季初勝利。山本は通算2勝目、チャンピオンになった2013年の最終戦第1レース以来の勝利を挙げた。

優勝の山本:「素直に嬉しく思います。第2レースに向けてエンジニアが素晴らしいクルマ(セットアップ)をつくってくれました。レース中はとにかく攻めることに集中していて、その結果としてラップタイムを落とさずに走って優勝できました。ブリヂストンタイヤでの最後のレースに勝てたことも光栄に思います」。

2位に終わった一貴(12&14年王者)は、タイトル防衛ならず。今週末は走り出しから流れが良くなく、セットアップ面でも苦闘続き。「正直、第1レースがセーフティカースタートになった時点で(タイトル争いに関しては)終わったかな、と思いました」と述懐する。ただ、良くない流れのなかでも最終的に第2レースで表彰台に立てたことについては、「来季につながるかな、と思います」とも語り、来季の奪冠へと既に気持ちをシフトさせているようだった。

3位はオリベイラ。そして4位でゴールした石浦が初タイトルを獲得し、以下、5位は平川亮(#7 KYGNUS SUNOCO Team LeMans/トヨタ)、6位が中山雄一(#18 KCMG/トヨタ)。可夢偉は9位まで追い上げる猛攻を見せて鈴鹿を沸かせたが、ポイント圏内にはあとひとつ届かなかった。

9位の可夢偉:「(あの時、火と煙は出ていたが)あのままスタートしてくれていたら、トップの方で争えていたとは思いますけどね。(レインでの)マシンの状態はベストに近かったと思います。今年、ポールも優勝もなかったのは寂しいですね。ただ、常に『あとちょっと』というところで、ある意味、安定はしていましたけど」。

可夢偉にとって満足できるシーズンではなかっただろう。だが、不慣れなコースが多く、走行時間も長くはないなか、SF参戦初年度としては充分に魅せてくれたといえる一年だった。

新チャンピオンとなった石浦は、1981年4月23日生まれの34歳。この世代のドライバーとしてはレースキャリアの本格的スタートが年齢的に遅く(青山学院大学理工学部中退という異色の経歴も有す)、若手時代には自動車メーカー支援によるエリートコースを歩んできたわけではなかったが、要所要所で実力を示し、その人格から得た恩人たちの支援も受けつつ、チャンスを確実にものにしてステップアップしてきた。2007年に全日本F3でシリーズ4位となり、SUPER GTのGT300クラスではチャンピオンを獲得。翌08年からSF(当時の名称はフォーミュラ・ニッポン=FN)とGT500という国内2大カテゴリーで戦うように。

FN~SFに関しては12~13年と実戦から遠ざかってもいた石浦だが、昨季からセルモインギングで再参戦。今年、第2戦岡山で初優勝を飾ると、一気にタイトル戦線の主役に浮上し、見事そのチャンスを射止めた。昨季からの担当チーフエンジニアである村田卓児さんは、かつてインパル時代に本山哲や松田次生とともに王座に就いたこともある人物だが、石浦は今季からGT500でもセルモ陣営で村田エンジニア、そして立川祐路(GT500では選手、SFではチーム監督)と一緒に戦っており、このチームとの親和性が実に高いようだ。様々な意味での相乗効果を発揮し、至高の高みへと登り詰めた。

「眠れないほどではなかったですけど、プレッシャーはあるにはあったので、今は無事に終われて(王座獲得できて)ホッとしています。そのあたりは、チームの明るい雰囲気に今回も助けられました。これまでもいろんな人に助けられてここまで来ましたが、僕は人に恵まれていると思います」と語る石浦は、今季開幕の頃に体調を崩したチームスタッフのことを気遣うコメントも発するなど、彼らしい思いやりを王者会見で披露し、チーム部門王者として同席したライバルTOM’Sの舘信秀監督からも「この人(石浦)がここまで来られたのは人間性だと思いますよ。おめでとう」という言葉が出た。

TOM’S舘監督はさらに、「今年の石浦は強かった。(日本人選手としては)一貴と可夢偉が強いと思っていましたが、そこに仲間入りしたよね」と石浦を褒め讃える。「今年は、突然強かったよね」とも言って笑わせたが、石浦によれば「それまで勝てそうで勝てていなかったことがプレッシャーになっていた部分もあったので、第2戦で初優勝でき、それ以降は気持ちの面で負けなくなったことが大きいと思います」とのことである。

来季はカーナンバー1を纏って王座防衛に臨む石浦。「初めてですし、1番なんて想像してなかったですからね。でも、やっぱり1番っていいですよね」。タイトル防衛はここ20年でも07~08年の松田次生しか成していない偉業。石浦がそれに挑戦する来季は、ヨコハマのワンメイクタイヤ初年度シーズンということになる。

《遠藤俊幸》

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