【スズキ アルト ターボRS 試乗】5AGSを疑って申し訳ない…岩貞るみこ

試乗記 国産車
スズキ アルト ターボRS
スズキ アルト ターボRS 全 12 枚 拡大写真

『アルト』が登場したとき、正直なところ「5AGS」の存在意義が見出せなかった。シングルクラッチのミッションは、するりと滑らかに加速するCVTに比べて息継ぎをするようにぎくしゃくするし、なんたって燃費も劣る。

確かに本体価格は安いけれど、でもこのストレスフルな走りが日本人に耐えられるのか? いまの時代、買い替えまでざっくり10年近く乗るっていうのに? と、私のなかでは正直言って最悪でボコボコにされる存在だった。しかし、ターボRSに乗った瞬間、合点がいった。そうか、これだったのか! いやあ、それならそうと早く言ってよと、すっかり手のひら返しである。

赤い指し色を、エクステリアにもインテリアにも上品に添えて、乗る前からアドレナリンをじわじわと放出させるターボRS。走り出すと、パワフルなターボの加速でぐいぐいとボディを前方へと押しやる。いや、軽自動車なので、そこは想像力を軽自動車モードにして読んでいただきたいのだが。

本領発揮はワインディングである。コーナーの曲がり具合と勾配に応じて、ギアを変えていく。マニュアルモードに入れてギアを固定したまま駆け抜けるときの気持ちよさといったら。シフトレバーでもシフトチェンジはできるものの、このサイズのクルマはちょっとした挙動の変化がダイレクトに伝わってくるため、左手をハンドルから離したくない症候群に襲われる。ゆえに取り付けられたパドルシフトがこの上なく便利なのである。バシッと決まるギアと速度の関係に、これよこれ! と叫びたい気分だ。

5AGSを疑って申し訳ない思いでいっぱいである。たしかに息継ぎはする。街中にもどってくると、ちょっと面倒な気持ちになるのは抗えない。でも、自分で操る感覚を、こんなに簡単に楽しめるなら、5AGSをどんどん搭載してもらいたいと思ってしまうのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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