東北大、太平洋プレート速度の実測に成功…今後の地震予測に貢献

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 東北大学は11月12日、2011年の東北地方太平洋沖地震以降の日本海溝に沈み込む直前の太平洋プレート速度の実測に成功したと発表した。実測は世界初となり、今後の地震発生予測に貢献する研究成果だという。研究成果は、米国科学雑誌「Geophysical Research Letters」電子版(10月29日)に掲載された。

 太平洋プレート速度の実測に成功したのは、東北大学災害科学国際研究所、東北大学大学院理学研究科、海洋研究開発機構の教授・研究員・大学院生らによる研究グループ。2011年の東北地方太平洋沖地震のようなプレート境界型の巨大地震が発生すると、一時的にプレート間の力バランスが崩れ、結果として海洋性プレートの沈み込む速度が増大する可能性が指摘されており、直接検証するには沈み込むプレート上での地殻変動観測が必要だった。

 研究グループでは、東北地方太平洋沖地震後の地殻変動を詳細に調べるため、東北沖の海底に測量基準点を設置。基準点の1つは沈み込む太平洋プレート上に設置され、2012年9月から2014年9月までに5回の観測を行ってきた。陸上の地殻変動にはGPS衛星システムによる測位技術が応用されているが、海底にはGPS衛星の電波が届かないため、海底基準点の位置を精密に決定する技術「GPS-音響結合方式 海底地殻変動観測」を開発し、観測に用いた。測定の結果、基準点は定常的なプレート速度(年間8.3cm)の約2倍に相当する速度で、少なくとも、観測期間中の宮城沖領域では、剛体運動としてのプレート運動速度の増大は顕著ではなかった。

 太平洋プレート速度の実測は、この地域における今後のひずみ蓄積過程の理解のために重要な知見を与えるものであり、長期的な地震発生予測への貢献も期待できるという。ただし、今回の成果は宮城県沖の太平洋プレート上1点の結果であり、東北地方太平洋沖地震がプレート沈み込みに及ぼした影響を正確に把握することはできない。北海道から関東地方の沖合にいたる広い海域を、今後新たに観測することが、ひずみ蓄積過程の理解に重要だとしている。

《黄金崎綾乃》

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