【マツダ ロードスター RS】連続性ある動き重視したシャシーセッティング…足回りを熟成

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マツダ ロードスター RS
マツダ ロードスター RS 全 22 枚 拡大写真

マツダ『ロードスター』のトップグレード「RS」。コンセプトは「自らの世界に没頭できる走りの質感をより高めた熟成モデル」で、「より深く、よりダイレクトにクルマとの対話を楽しみたいカスタマーへ、さらなる質の高い味わいを期する上級仕様」に仕立てることを目標にしていたという。

「高い動的質感を実現させるカギになるのは、まずクルマの動きが唐突でなく、連続性が保たれること。そしてさらに、この先どういう動きになるかという予見性があることの2点だと考えました。手ごたえがないのにクルマの動きが変わったり、逆に入力してもクルマが反応しなかったりといったことを排除するために、過渡特性を徹底的に追求しました」と、ロードスターRSのシャシーチューニングを担当した川田浩史氏は語る。

「ビルシュタインのショックアブゾーバーを採用したのはそのためです。ビルシュタインはコンマ1ミリ、2ミリといった微小領域での減衰力を、通常の4倍ほど細かく設定できる。マツダとビルシュタインとの付き合いの歴史は結構古く、長年のコミュニケーションのなかで、具体的な数値を言わなくてもハンドリングに関してわれわれが抽象的な表現でモノを言うと、ビルシュタイン側のエンジニアはその意図を汲んでわれわれが求めているもの、ときにはそれ以上のものを出してきてくれる。そのあうんの呼吸の集大成がRSのハンドリングなのです」(川田氏)。

RSのシャシーセッティングのこだわりはサスペンションだけではない。ショックアブゾーバーの減衰力アップで増加したボディへの入力を受け止めるためのフロントサスペンションタワーバーや、容量アップされたブレーキも走りの質感を高める重要な役割を担っている。

「ブレーキはフロント258mm、リア255mm径のローターを、ともに280mmへと大径化しました。踏み込みに応じて性動力がリニアに増え、踏み戻したときにパッドがローターから自然にスッと離れるという高度なコントロール性は維持しつつ、ローターに高い負担がかかるスポーツ走行時でも、冷間時に対してブレーキペダルの踏力の増加を抑えています」と話すのは、ブレーキ開発担当の開原真一氏だ。

128km/hから加速度マイナス0.5Gでの停止を10回繰り返したときのローター温度は、「Sスペシャルパッケージ」に対してフロントが42度低い452度、リアが49度低い349度。この温度低下により、同じ踏力での減速Gの低下はそれまでの半分以下に収めることができたという。

「RSの発売は他のグレードのデビューから4ヵ月以上後れてしまいましたが、(現行モデルの)ND型の持っている潜在能力を100パーセントに近いレベルまで引き出すには、どうしても時間が必要でした。ショックアブゾーバーの仕様決定ひとつとっても、通常なら2週間程度で行うのに対して、毎日フルに走りこんでなお1ヵ月半かけています。その味は、ハイレベルなクルマを求めるお客様にも必ずや満足していただけると確信しています」(川田氏)。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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