【マツダ ロードスター RS】ライトウェイトスポーツの楽しさを増幅、専用レカロシートの魅力

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マツダ ロードスター RSのレカロシート
マツダ ロードスター RSのレカロシート 全 14 枚 拡大写真

マツダ『ロードスターRS』のテストドライブでノーマルと大きく違うと感じられたポイントは、シャシーセッティングだけではない。ノーマルフレームをベースとしながら、サスペンションマットやサイドサポートモジュールの採用によって機能向上が図られたレカロシートの身体支持性能が出色で、加減速Gや横Gがかかっても姿勢を保つために変に体に力を入れる必要がなく、気持ちの良いスポーツドライビングが出来たのが印象的だった。

【画像全14枚】

レカロは古くから高級シートブランドとして知られていたが、昭和42年生まれの筆者にとってそれが身近なものに感じられるようになったのは昭和末期。時期をほぼ同じくしてマツダが『カペラ』や『ファミリアアンフィニ』など、いすゞが『ジェミニ イルムシャー』や『ピアッツァ イルムシャー』など、レカロシートを標準装備するモデルを複数投入したのがきっかけだった。

当時、自動車用シート分野では日欧間でとてつもない技術格差が存在しており、長時間走行で背中や臀部が痛くならないというだけで感動したものだった。が、その頃から彼我の格差を目の当たりにして志を高くした日本のエンジニアが次第に本気になりはじめた。「人間の体を勉強しなければいいシートは作れない」と、シートメーカー勤務から大学医学部に入りなおす猛者も登場するなどして、生体工学の知見を高めてシート性能を大きく向上させていった。今日、日本車のシートは比べ物にならないほど良くなっている。

ロードスターのノーマルシートも、フィット感やホールド感は十分に優れていると言えるレベルにある。RS開発にさいし、あえてレカロシートを装備した理由について、内装開発担当の竹内良敬氏は、「人馬一体を標榜するロードスターの、クルマが手の内にあるような感覚、軽快感を大事にしながら、よりハードなスポーツ走行をサポートする支持性能と高い質感を提供するためには、やはりレカロが必要だった」と語る。

プロジェクトに関わった一人であるレカロジャパンの大島正敏氏は、「レカロのトップを務めるエルマー・デーゲナーは60代という年齢にもかかわらずニュルブルクリンク24時間耐久レースにファーストドライバーとして参戦し、2013年、14年にはスバルを抑えてクラス優勝。15年は2位でしたが、本人は『80歳まで現役で走るよ』と息巻いています。フォルクスワーゲン『ビートル』やポルシェ『901』の車体を作ったコーチビルダー、ロイターを源流とするレカロは、クルマの動きを知り尽くしたメーカー。そのノウハウをロードスターRS用シートにも存分に投入しました」と、妥協を排した開発姿勢を貫いたことをアピールした。

「デーゲナーが出場しているニュルブルクリンク耐久、F1などさまざまなモータースポーツから、人間の筋肉や骨の動きに関する情報が日々フィードバックされている。レカロの哲学は人間が姿勢を崩すことなくクルマの動きと同調すること、ピッチングやヨーイングなどの変化を適切に受け止められること、そしてその情報をパッセンジャーに適切に伝達すること。骨盤を左右の坐骨結節と腰椎の3点できっちり支持する構造になっています。また、ウレタンは長時間、高い湿度で圧力をかけても弾力性を失わない上級品、シート表皮も体と接する部分に滑りにくいアルカンターラを使いました」(大島氏)。

単にサポート性を上げただけでなく、低Gから高Gまで重心がリニアに移動するようにチューニングしているとのこと。コーナリング途中で体が急にずるっと滑ったりせず、シートに体を預けさえすればごく自然にドライブすることができるという特性は、ロードスターのライトウェイトスポーツカーとしての楽しさを何倍にも増幅しているように思われた。

《井元康一郎》

井元康一郎

井元康一郎 鹿児島出身。大学卒業後、パイプオルガン奏者、高校教員、娯楽誌記者、経済誌記者などを経て独立。自動車、宇宙航空、電機、化学、映画、音楽、楽器などをフィールドに、取材・執筆活動を行っている。 著書に『プリウスvsインサイト』(小学館)、『レクサス─トヨタは世界的ブランドを打ち出せるのか』(プレジデント社)がある。

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