【フィアット 500X 試乗】ルックスはイタリアらしいしっとりしなやか、走りは意外と"硬め"…岩貞るみこ

試乗記 輸入車
フィアット 500X
フィアット 500X 全 9 枚 拡大写真
ただでさえ可愛い『500』。それがSUVの細マッチョになったのだから、女心に響かないわけがない。

ボリュームアップしたボディながら、デザインは4枚のドアをうまくまとめて家庭臭を微塵も感じさせないし、タイヤ周辺に黒をあしらい、全体を大柄に見せすぎない配慮もされている。なによりアゴにあしらわれたガードがタフさをさりげなく演出していて、絶対、ここをがつがつぶつけるような道は走らないとわかっていても、包容力にうっとりするのが女心というものである。

さらにインテリア。造形といいカラーといい、手触りといい、とってつけた感がないのがイタリア車ならではだと思う。昔、イタリアの友人が言っていたっけ。「イタリアはアートの国なのよ。日常生活のなかでアートを身に着けていくのよ」と。わかるなあ。こうして工業デザインを目の当たりにすると、にじみ出る素性の違いをつきつけられる。

そんなイタリアの美学がそこかしこから噴出しているというのに、走りはちょっと意外だった。硬いのである。イタリアらしいしっとりしなやかな雰囲気はどこへ行ったのか。握ったハンドルから返ってくる反力。座ったシート。さらに走らせたときのサスペンションのしならなさ。

タイヤは18インチだが、ためしに17インチのポップスターに乗ってみるも印象は変わらない。イタリアン=しなやかと刷り込まれている身としては、意外さをなかなか受け入れられないで困る。これは初期の硬さなのか。数百キロも走ったら、少しはしなやかなサスペンションになるのかしらん。

ただ、搭載された9ATのなめらかさは気持ちい。このサイズに9速か!と、のけぞる思いだが、なめらかでしなやかで上品なのである。6速のDCTもスポーティ感があるものの、自分が選ぶなら大人な9速でリッチに走りたいともくろんでいる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

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