最近、なにかと話題のクリーンディーゼル車。日本では石原都知事のパフォーマンス以来、苦戦していたディーゼル車ですが、月日は流れて技術は進歩し、クリーンで環境に優しく、しかも燃費も良くて運転も楽しいクルマへと大変身。
ですが、今回のディーゼルに関する不正問題は今年の自動車業界に衝撃を与えました。ただ、この問題はクリーンディーゼルという技術そのものを否定するものではないということを、私たちはしっかりと理解しておかなくてはなりません。
そんな中、日本にまたひとつ魅力的なクリーンディーゼル車が導入されます。それがフランス生まれのプジョー『508 BlueHDi』です。これは今年1月にマイナーチェンジし、欧州などではすでに発売中。ちなみに508は、今のプジョーのラインアップではフラッグシップモデルとなっています。日本では508 GTという名前で、今回の東京モーターショー2015で日本初公開& ディーゼルモデル初上陸!となりました。そんな話題のモデルに、ひと足お先にフランスで試乗してきました!
エクステリアを見た感じ、特にガソリンモデルの508と大きな違いはありません。フロントグリルにBlueHDiというエンブレムが掲げられているぐらい。ということから推測されるのは、プジョーではクリーンディーゼルモデルは特別なものではなく、あくまで“1つのグレード”という扱いみたい。むしろ室内のほうがクリーンディーゼル車ということがわかるかも。最もわかりやすいのは回転数計。ガソリン車だと7000回転まで表示があるのに、ディーゼル車だと6000回転まで。その分表示される文字が大きくなったせいで、堂々としている感じがします。
メーターパネルは黒字にシンプルな白文字。これはクロノグラフをモチーフにしたというスッキリとしたものですが、私にはキッチンにある「クッキングスケール」のアナログ表示にも見えます。これはプジョーが「ペッパーミル」などのキッチン用品なども手掛けるメーカーだから、という先入観もあるのかも。でも女性にとってはこちらのほうがなんとなく身近に感じられそう。そこに赤い針という組み合わせ。
今回試乗したのは日本に導入されるものと同じ2リットルエンジンでトランスミッションは最新の第3世代6速AT。
やはりディーゼルの醍醐味はロングドライブ。ちょっと足を延ばしてドライブをしないと! ということで、パリの中心地である凱旋門近くのプジョー本社を出発し、ハイウェイを通りつつ、パリ郊外にあるマリー・アントワネットゆかりのベルサイユ宮殿へ。そういえば以前は、目の前までは行ったことのですが、時間が無くて中に入ることも無く…。今回はそのリベンジ! と思いましたが、今回も残念ながら休館日。トホッ…(号泣)。
パリの中心地からはおよそ25km。道が空いていたので30分ぐらいで到着。都内から横浜ぐらいまでという感じでしょうか。エンジンを始動してもディーゼル車ならではのエンジン音や振動は、気にならない程度。
車内の広さもさすがはフラッグシップモデル。今回、3人乗車で+荷物がありましたが、余裕たっぷり。インパネフードが高いかな、という感じはありますが、そのほかは特に圧迫感などはなし。サイズ感と取り回し、そしてフラッグシップの持つ押し出し感など、すべてが強すぎず“ほどほど”な感じ。ドイツと違って、フランスのほうが「自己責任の国」なのか、郊外の一般道でもやや早いタイミングだったり、周囲の環境を見つつ加速が始まる感じ。だからこそ、アクセルを踏むことが多いのか、このディーゼル車の加速感はフランス人気質に合うみたい。
今回の走行は183kmほどで、実燃費は12.8km/リットル。ガソリンより軽油のほうが値段が高かったのですが、それでも敢えて経済観念のしっかりしているパリっ子たちが選ぶのは、クリーンディーゼルモデルが魅力的だから…に違いありません。
そして今回はパリでセルフ洗車にも挑戦しました。洗車機に入る前に「N」に入れ、自動ブレーキを解除するという初めてのパターン。ドキドキしながら洗車しましたが、地下駐車場に洗車機があるのはわかりますが、給油スタンドまで地下にあるのはビックリ。しかもパリの中心部で!いろいろなことに驚いたパリでの試乗でした。
吉田由美|カーライフ・エッセイスト
短大時代からモデルを始め、国産メーカーのセーフティドライビングのインストラクター経て2000年に「カーライフ・エッセイスト」に転身。クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオ、web、新聞、トークショー、講演会などで広く活動中。3つのブログを展開し、中でも「なんちゃってセレブなカーライフ」は1日約20万アクセスの人気を誇る。