ブリヂストン、高精度自動生産システム「BIRD」を報道陣に公開

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ブリヂストンの高精度自動生産システム「BIRD」。彦根工場にはBIRDが計16台ある
ブリヂストンの高精度自動生産システム「BIRD」。彦根工場にはBIRDが計16台ある 全 6 枚 拡大写真

ブリヂストンは12月8日、彦根工場(滋賀県)内にある最新の生産システム「BIRD(バード)」を報道陣に公開した。

彦根工場は、同社で4番目の国内タイヤ工場として1968年に操業開始。乗用車や小型トラック用のラジアルタイヤを日産5万3000本ペースで生産している。敷地面積は国内工場で最大の東京ドーム14個分。乗用車用タイヤの生産量でも同社最大の工場だ。

今回、報道陣に公開されたのは、彦根工場内で2005年から稼働している最新の生産システム「BIRD」。既存工場とは異なり、ITを駆使した高度な自動化によって高品質なタイヤを多サイズ・小ロット生産できる高精度自動生産システムだ。BIRDとは、Bridgestone Innovative Rational Developmentの略。「革新的で合理的なシステムであり、世界に羽ばたく」という意味が込められているという。メディアに広く公開されるのは今回が初めてで、機密保持のため、工場内での撮影は一切禁止とされた。

BIRDの開発コンセプトは、三つからなる。一つ目は品質向上で、高品質タイヤの場合は、丸さや均一性の向上がそれに当たる。二つ目は、完全自動化された生産による世界同一品質。BIRDは現在、彦根工場のほか、メキシコのモンテレー工場(2007年)、ハンガリーのタタバーニャ工場(2008年)にも導入されている。三つめは、工程直結による工場のコンパクト化、小規模化だ。

既存のタイヤ工場は長大なラインが特徴で、ゴム練り工程に始まり、トレッド、コード、スチールベルト、ビードなどの部材を作る工程があり、それらのパーツを組み立てる成型工程、熱と圧力を加えて強度を出す加硫工程を経て、製品検査という流れになる。こうした既存工場では、数百mを超える長大なラインや多くの人手が必要であり、小ロット生産には全く向いていない。

それに対してBIRD工場には、従来の長大なラインはない。あるのはコンパクトなオーバル型ラインを持つBIRD生産システムで、それが工場内に16セットある。各BIRDモジュールのスペースは30m×15mほどと極めてコンパクトだ。

作業員が練ゴムやビードワイヤーといった材料を投入すれば、あとはBIRDが部材工程から成型工程、加硫まで、完全自動で生産を行う。同じゴム材であれば、一つのユニットで最高8サイズ作ることが可能。生産性は従来の2倍で、中間在庫も生じない

作業員は4セットに対して3人配置され、計12人。人が行うのは主に、材料供給とアラームが鳴った時の対応になる。実際、構内に人影はほとんどなく、BIRDが黙々とタイヤを作り続けている。各モジュール内にはラインに沿って狭い通路があり、記者もそこに入ることができたが、それはまるで工作機械の「体内」に入るような不思議な感覚だった。

彦根工場のBIRDでは、主に国内向け高級タイヤの「REGNO(レグノ)」、輸出向けの「TURANZA(トランザ)」、そして世界共通ブランドの「POTENZA(ポテンザ)」などを生産している。ただし、それらの全てをBIRDで生産するわけではなく、例えば新車装着用として自動車メーカーに納めるPOTENZAなどは、大ロット生産に適した既存工場で生産している。BIRDは、あくまでも高品質なタイヤを、品質のブレがなく、多サイズ・小ロットで生産するための最新システムということだ。

《丹羽圭@DAYS》

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