【マツダ ロードスター 海外試乗】圧倒的な力強さの2L仕様、バランスなら1.5L…河村康彦

試乗記 国産車
マツダ MX-5 ミアタ
マツダ MX-5 ミアタ 全 8 枚 拡大写真

「10年ぶりのフルチェンジ」で、話題沸騰中のマツダ『ロードスター』。太平洋を渡ると『MX-5 ミアタ』へと名を変えるそんな新型のアメリカ・バージョンを、陽光眩く日中ならば11月になっても半袖でOKという、ロサンゼルスの近郊で試乗して来た。

舞台は、ロスのダウンタウンから北に20kmほどの国立森林公園内を貫くワインディングロードと、そこに至るフリーウェイがメイン。雨の心配も無用なアメリカ西海岸ならではの気候と、そんな走りのロケーションの組み合わせは、なるほどこの地こそが世界のオープンスポーツカーの聖地と言われる理由を、改めて納得させられるものでもあった。

ところで、日米仕様の両車には決定的な相違点が存在する。エンジンを2リットルから1.5リットルへと“ダウンサイズ”させた日本仕様に対し、アメリカ仕様は相変わらず2リットルという排気量のままというポイントだ。

当然ながら、両車の心臓が発する出力には、少なからざる差が存在。日本仕様の131ps/150Nmという最高出力と最大トルク値に対して、アメリカ仕様は155hpと148lb-ft。すなわち、表示単位を合わせるとそれは約157ps/201Nmと、「日本向けバージョンよりも遥かに強力」ということになるのだ。

実際、“ブレンボ/BBSパッケージ”を装着した「クラブ」と呼ばれるグレードのMT仕様に乗り込んでクラッチミートをした瞬間に、日本仕様車とは一線を画した力強さはすぐに体感出来た。

こちらであれば、1.5リットルモデルでは苦しい1→3→5速といった街乗りシーンでの“飛ばし”のシフト操作にも難なく対応してくれるし、フリーウェイ特有の「速い初速からの合流加速」でも、十分な余裕が感じられる。加えて言えば、駆動ギア比は日本仕様と同一にも関わらず、こちらであれば6速ギアのままで、そこからそれなりの加速も可能なのだ。

端的に言って、“より楽に、かつスピーディな走り”が楽しめるのがこちらアメリカ仕様。少なくとも動力性能面では、「日本仕様とは別グルマ」と表現してさえ過言ではなさそうだ。

一方、開発陣が執拗に「ベストバランスは1.5リットルの方」とコメントする理由も分からないではない。前述のように、動力性能面に優れる2リットルモデルは、その分「エンジンの存在感が強過ぎる」という気がしないでもないからだ。

サウンド面でも、より好印象が抱けるのは1.5リットル。2リットルユニットが発するのは、“サウンド”というよりも“ノイズ”と表現した方が適切でありそうな、少々雑な音色。

日本仕様でも、首都高速上に続く段差などでは意外にチョッピーで辛い乗り味を示すが、そうした傾向はやはりフリーウェイのコンクリート路面でも同様だった。ちなみに、ここでのアメリカ仕様が装着していたタイヤは、205/45R17サイズのブリヂストン「POTENZA S001」。それが発するロードノイズが思いのほかに大きいことも、「良い音が聞こえない」という印象に拍車を掛けてしまっていた。

一方で、ワインディングコースでのハンドリング感覚はゴキゲンそのもので、そこでは“エンジンが大きいこと”は気にならない。フットワークに関していえば、2リットルユニットの搭載がバランスを崩した、という感覚はないということだ。

結論からすれば、「確かに、よりバランスに優れるのは1.5リットル。けれども、だからと言ってそれが2リットルモデルを日本で売らない理由にはならないはず」というのが個人的感想。

マツダは日本一のスポーツカーメーカーなのだから、そんな“特殊車両”の商売とは「新型を登場させた時がスタートの時」であるのをすでに熟知しているに違いない。

であれば、2リットルという“発展形のロードスター”はいずれ日本市場にも展開せざるを得ない日がやって来るはず。何しろ、その最有力となるであろうターゲットが、現行1.5リットルモデルを手にしたユーザーなのは間違いないのだから。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

河村康彦|モータージャーナリスト
自動車専門誌編集部員を経て、1985年よりフリーランス活動を開始。現所有車はポルシェ『ケイマンS』、スマート『フォーツー』、そしてVW『ルポGTI』(ただしドイツ置き去り)。

《河村康彦》

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