大井川鐵道、蒸気機関車に「半分煙除け」装備…来年1~3月の期間限定

鉄道 企業動向
下半部の板を省略した「門デフ」装備のC11 190(左)と、通常デフレクターのC11 190(右)。来年1月から3月までの期間限定で「門デフ」の190号機を運用する。
下半部の板を省略した「門デフ」装備のC11 190(左)と、通常デフレクターのC11 190(右)。来年1月から3月までの期間限定で「門デフ」の190号機を運用する。 全 2 枚 拡大写真

大井川鐵道(静岡県)は12月22日、同社が大井川本線で運用しているC11形蒸気機関車2両のうち、190号機の除煙板(デフレクター)を「小倉工場式切取除煙板(通称:門デフ)」に変更すると発表した。2016年の1月から3月にかけて運行する。

C11形190号機は1940年、川崎車輛(現在の川崎重工業)が製造した蒸気機関車。九州の国鉄線で運用され、1974年に廃車された。その後は熊本県八代市の個人が所有していたが、2001年6月には大井川鐵道入りして再整備され、2003年7月から大井川本線のSL列車で運用を開始した。

蒸気機関車の先頭部両脇にはデフレクターが装備されていることが多く、これによって気流を変化させ、煙突から吐き出される煙が車体や運転台にまとわりつくのを抑えている。しかし、デフレクターの下部には蒸気機関車の駆動力を伝えるシリンダーがあるため、保守面では「存在が煩わしい」(大井川鐵道)ものとされている。

このため戦後、九州の国鉄小倉工場は新しいタイプのデフレクターを開発。デフレクターの下部は気流の変化が少ないため、下半部のみ板を省略して山形鋼で固定した。当時の小倉工場は門司鉄道管理局内にあったことから「門デフ」と呼ばれている。「門デフ」は保守の現場から歓迎されたほか、「九州の蒸気機関車」を象徴するスタイルとしてSLマニアの人気も高かったという。

大井川鐵道によると、190号機は九州の国鉄線で運用されていた頃、「門デフ」を装備したことはない。しかし、鉄道マニアの間からは「九州にゆかりのあるSLにぜひ『門デフ』を取り付けてほしい」という声が多くあがっていた。また、2016年は大井川鐵道のSL列車運行開始40周年にあたることから、鉄道趣味誌『蒸気機関車EX』を発行するイカロス出版とのタイアップ企画として、「門デフ」を装備した190号機を運行することにした。

「門デフ」装備の190号機は、2016年1月から3月までの期間限定で運用される予定。1月1・2日は日章旗と「新年ヘッドマーク」を取り付けて運行する。

大井川鐵道は1976年、SL列車の運行を開始。蒸気機関車は全て国鉄で運用されていたもので、現在はC10形8号機とC11形190・227号機、C56形44号機の4両を使用しているが、タンク式のC11形227号機とテンダ式のC56形44号機は最近、姿を見かけなくなっている。その一方、英国の子供向け番組「きかんしゃトーマス」の主人公で青いタンク式機関車「トーマス」が、2014年から運行を開始。今年も「きかんしゃトーマス」の主要キャラクターで、赤いテンダ式機関車の「ジェームス」が仲間入りしている。

《草町義和》

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