【メルセデスベンツ C220d 試乗】どこまでも走りたくなるディーゼルの恩恵…中村孝仁

試乗記 輸入車
メルセデスベンツ C220d
メルセデスベンツ C220d 全 22 枚 拡大写真

皆さん、安心してください!尿素、入ってます…とは言わないが、しかるべき条件下、即ちテストモードで測定すれば、SCRを使用するクリーンディーゼルはちゃんと規制をクリアする。

何もSCRでなくてもちゃんと規制をクリアするクリーディーゼルは存在し、すこぶる燃費が良い。おまけに軽油は日本市場の場合非常に安価だから、燃料のトータルコストで行けば、ハイブリッドどころか、下手をすると軽自動車だって食ってしまう。メルセデスに限らず、日本市場ではボルボも粛々と、ディーゼルを導入し、今も高い販売比率を誇っている。メルセデスは、『Aクラス』にこそ導入していないが、『Cクラス』以上の乗用モデルには、「220」の名を持つ4気筒ディーゼルを投入。最後に出てきたのが『C220d』なのである。

トップモデルの『Sクラス』は「S300h」の名を持つ、日本市場初のディーゼルハイブリッド。その下の『Eクラス』と『CLS』にはこのC220dと同じ2.2リットル4気筒が積まれている。ただし、一つだけ異なる点がある。それがCクラスでは初めて9Gトロニック、即ち9速ATが搭載されたことだ。従来Eクラス、CLSクラスの場合は7Gトロニック。それでも十分効率が良いと感じていたので、果たして9速の必要性があるのか、という点と同じく果たして日本の道路事情において9速が乗用できるか、という点が個人的には注目すべき点だった。

結論から言うと、9速はギリギリ使える…である。高速100km/hに到達するのにじわじわと加速していった場合、9速には入らず8速で推移する。ところが流れに乗って踏んで行って110km/hぐらいまで行って、アクセルオフにして100km/hに戻るのを待つと、ちゃんと9速に入る。ただし、100km/hから1~2km/h下回ると、すぐに8速に入ってしまうという状況だから、常時9速を保つためには、イリーガルな速度域で定常運転しなくてはならない。というわけなのだが、最近の東名あるいは東北自動車道など、追い越し車線のスピードに乗っていると、9速は使える範囲なのだ。

220dユニットについてはすでにCLSでも体験済みだが、実は全く同じ諸元ではなかった。CLSでは177psだった最高出力が、Cクラスでは170psに落とされている。最大トルクは同じ400Nm。発生回転域も1400~2800rpmで同じだ。トランスミッションが9速になったと言っても加速感やスムーズさに影響はなく、まあ同じ。さすがに車重はCLSと比較するとほぼ200kg近く軽いので、その影響は顕著。だから、C220dで、加速感に不満は全くない。それどころか、速っ!という感じである。やはりアルミを多用した効果は大きい。

およそ700km弱走った総燃費は14.9km/リットルと、予想よりはだいぶ低かった。借りていた11日間で、高速を走ったのは1日だけで後はほぼ街中主体だったからだと思うが、そう考えるとやはり燃費は相当によろしい。因みに高速区間の車載コンピューターによる燃費は19.8km/リットルだから、高速だけをとろとろ省燃費運転すれば20km/リットルは行くということになる。そして今、我が家周辺で最も安い軽油のお値段、何と85円/リットルなり。これだとどこまでも走ってしまいたい衝動に駆られるし、燃費考えずに思いっきり踏み込みたくもなる。

正月二日に、知人友人たちと早朝から走り回り、結構なワインディングも試してみたが、ステアリングは正確無比だし、足の良さと快適さも十分に堪能できた。この日だけで300km以上走破したのだが、全く疲れ知らず。シートの出来もすこぶる良いことが証明された。試乗車はAMGパッケージ装着車だが、素のモデルでも必要装備はすべて揃っているから、素の値段559万円でも十分。やはり相当にお買い得な気がする。

最後に一点。エンジンは室内で聞く限り十分に静かだが、早朝の走りはじめはそれなりというか、圧縮比の低いマツダのクリーンディーゼルよりは大きな音がする。社外音は決して小さくない。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メ
カを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  4. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  5. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る