【キャデラック Vシリーズ 海外試乗】世界最速のレーシングサルーンと、世界最良のスポーツセダン…西川淳

試乗記 輸入車
キャデラック CTS-V(手前)とATS-V(奥)
キャデラック CTS-V(手前)とATS-V(奥) 全 28 枚 拡大写真

世界最速のレーシングサルーンと、世界最良のスポーツセダン。キャデラックの新型「Vシリーズ」、『CTS-V』と『ATS-V』をシンプルに評すると、そうなる。

【画像全28枚】

パワーフィールでC63を上回り、操る楽しさでM3に匹敵する…ATS-V

まずは、ATS-V。ライバルはズバリ、BMW『M3』とメルセデスAMG『C63』で、結論からいうとハードのパフォーマンスはまるで互角だ。日本では、そのブランドステータスでこそ負けてはいるものの、逆にいえばそれだけまだ伸び代がある。人とは違う個性を求める向きには、ぴったりの選択ではないだろうか。

ATS-Vのパワートレインは、470psの3リットル直噴V6ツインターボ+8ATだ。対するM3は431psの3リットル直噴直6ツインターボ+7DCT、C63は476psの4リットル直噴V8ツインターボ+7MCT、と、面白いことに、三者三様のパワートレインを積む。0-100km/h加速で比べれば、ATS-Vが3.8秒で最も速い。

“アメ車だし、真っ直ぐだけでしょ?速いのは”、なんて思われた方、違います。今度のVシリーズの凄さは、そうじゃないところにこそあるんです。

ATS-Vは、ハンドリングを楽しむスポーツセダンとしても、M3に伍する性能の持ち主。パワーフィールでC63を上回り、操る楽しさでM3に匹敵、とくれば、面白くないはずがないってもの。

実際、ライドフィールはスパルタンのひとこと。最新世代のマグネティックライドはATS-V専用チューンで、ツアーモードでもC63はもちろん、M3より硬派。サーキットモードにすれば、それこそミズスマシハンドリングというやつで、両手から先の一体感と、意のままにタイヤが動く感覚が素晴らしい。ブレーキフィールも極上で、走っている最中はずっと楽しめる。

世界最強最速のサルーン…CTS-V

一方のCTS-V。これはもう『E63』だろうが『M5』だろうが、はたまたポルシェ『パナメーラターボS』だろうがアストンマーティン『ラピードS』だろうが、全てを蹴散らす、現時点で世界最強最速のサルーンだった。

『コルベットZ06』と同じスーパーチャージド6.2リットルV8エンジンは649psを発揮、と聞けば、「こんどこそ直線番長で間違いないでしょう?」、と言われるかもしれないが、速いだけの電気自動車とはワケが違う。これがまた、超優秀なハンドリングマシンだったから、ATS-V以上に驚いた。

とにかく、アシ回りからステアリングシステム、シャシー電子制御、マグネティックライドまで、すべてを徹底的に専用チューニングした結果、狭いワインディングロードでも649psを大いに振り回して楽しめるマシンに。ブレンボのブレーキの利きとフィールがまた絶賛モノで、それがさらなる右足のプッシュを誘うという、操る楽しさの連鎖が起きた。

ATS-Vとは違って、日常域(ツアーモード)では乗り心地よく制御されるのも嬉しい。ラグジュアリィサルーンとしても十分、一等地に達している。

どうやらキャデラックは、この新型Vシリーズと、別でリポートした『CT6』の二台において、老舗アメリカンブランドの個性と最新グローバルラグジュアリィのあり方とを高次元で両立させる見事な着地点を、ようやく見つけたようである。

ATS-V
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

CTS-V
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

西川淳|自動車ライター/編集者
産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車における趣味と実用の建設的な分離と両立が最近のテーマ。精密機械工学部出身。

《西川淳》

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