【アウディ A4 試乗】著しく進んだところとライバルに追いついた部分が混在…中村孝仁

試乗記 輸入車
アウディ A4
アウディ A4 全 16 枚 拡大写真

アウディ『A4』が新しくなった。恐らく道で遭遇すると目ざとい人しかわからないほど、外観はキープコンセプトを貫いているが、中身は相当に新しい。一方でようやくライバルに追いついた部分も…

似てはいるが外観では15mm長く、15mm幅広い。逆に全高は10mm低いから、広く低く長くなった。ボディは大型化しても、ヨーロッパ仕様での比較では旧型比最大で120kgも軽いそうだから、このあたりに技術の進歩を感じる。字面だけを読んでいると見逃してしまいそうだったのがエンジン。2リットルTSFIは従来と同じながら、ヘッド一体型のエクゾーストマニフォールドを採用したり、デュアルインジェクションを採用したりと大きく変わっている。何よりミラーサイクルが採用されている点が見逃せない。おかげでパフォーマンスは190ps、320Nmへと向上している。

メーター周りはすべてデジタルのバーチャルコックピットと呼ばれるディスプレイが用意された(ただしオプションだそうである)。タコメーターとスピードメーターもディスプレイ表示。アナログチックな針での表示は最早無い。そして必要に応じて色々な表示を可能とし、メーターパネルをすべて地図にすることも可能だった。勿論ダッシュ中央には通常のインフォテイメント用ディスプレイが存在し、こちらではAppleのCarPlayにも対応する最新のインフォテイメントシステムが組み込まれている。このあたりは大きく進化した点。

一方で従来アウディが少しおろそかにしていた安全性と快適運転という部分では、ようやく全車速対応のACCが標準装備されて、こうした部分はようやくライバルに追いついたという感じである。勿論アウディとしては大きな進化であるが。

足回りも変わった。従来はフロントに5リンク、リアにトラペゾイダルと称する構造だったのが、今回はフロント同様5リンクに改められ、軽量化を達成している。

とまあ、見た目とは裏腹に中身は大変わりしているのが新しいA4なのである。最後にA4に試乗したのがだいぶ過去のことなので、正直直接の比較はなかなか難しかったが、スッと乗り出しての印象はまず静粛性が高いと感じた。これはエンジンなどが発するメカニカルなノイズも低減されていると思われるが、エアロダイナミクスの徹底した追求や、フロントに遮音性の高いアコースティックガラスを採用したことなどが効果を発揮していると思う。アンダーボディなどは徹底的にカバーで覆い尽くし、Cd値は何と0.23だという。サイドミラーのカバーにリブを設けて、風切り音を減じているそうだが、それ自体の効果は顕著というほどではない。

乗り心地やハンドリングも大きく進化している。アウディドライブセレクトという機能があって、オート、コンフォート、ダイナミック、エフィシェンシー、それにインディビデュアルというモードから,ドライバーが任意でチョイスをすると、ステアリングの特性、エンジンのピックアップ、シフトプログラムなどが変更できる。ステアリングギア比も15.9:1とかなり早い設定で、ハンドリングは中々シャープで軽快である。ダイナミックとコンフォートではだいぶ快適さも違うと思って乗っていたが、サスペンション自体は基本同じというものの、気分は全然違った。どうも騙されやすいらしい…。因みにちゃんと可変機構を備えたダイナミックサスペンションもオプションで用意される。

それにしても最近のクルマは試してみたい機構が満載で、90分の試乗時間ではほんのさわりだけしか味わうことが出来ない。じっくりと味わってみたいものだ。

■5つ星評価
パッケージング ★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メ
カを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来38年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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