トヨタ・ヤンマー提携によるコンセプト艇は10月発売…その狙い、両社役員のコメント

船舶 企業動向
「トヨタブランドで市場を盛り上げたい」(苅田氏)「エンジンの相互供給なども進めたい」(友山氏)
「トヨタブランドで市場を盛り上げたい」(苅田氏)「エンジンの相互供給なども進めたい」(友山氏) 全 9 枚 拡大写真

1日に発表されたトヨタとヤンマーによるマリン事業での業務提携に関して、パシフィコ横浜で開催中の「ジャパン インターナショナルボートショー 2016」において、両社役員によるプレゼンテーションが行われた。発表後のコメントと合わせてまとめる。

今回の業務提携は、トヨタが求める新しいボート船体素材の要求に、ヤンマーが応える形で実現している。

「従来からあるアルミハル(アルミ製の船体素材)は、剛性感が高いものの加工や量産に課題があった。加工も量産もしやすくアルミより優れた性能の素材を開発していたが、その中でヤンマーの高いFRP加工技術に触れ、アルミ、カーボン、FRPを使った新しい複合素材、トヨタハイブリッドハルの開発に成功した。(トヨタ自動車 専務役員 友山茂樹氏)」

これに対し、ヤンマー 専務取締役 苅田広氏は次のように語った。

「昨年のインターナショナルボートショーで、トヨタの関係者と話をする上で、ハイブリッドハルの話が始まった。4月には協議を開始した。プランは1年以内に開発するという非常にチャレンジングなものだったが、腕の見せ所であり、やりがいのあるものだった。」

トヨタでは、ヤンマーとの提携でハイブリッドハル量産化のメドが立ったことで、ブースに展示していある小型マルチクルーザー「TOYOTA-28 CONCEPT」を10月に発売するべく準備を進めている。トヨタはエンジンを提供し、ヤンマーは大分の工場でハイブリッドハルによる船体一式の製造を担当する。

ヤンマーは、1933年から船舶用ディーゼルエンジンを手掛け、FRP船体まで漁船やプレジャーボートまで自社で開発・販売を展開している。自社製品への「トヨタ ハイブリッドハル」の適用、応用はあるのだろうか。

「基本的には、トヨタへの供給のみで自社製品への利用は考えていない。ハイブリッドハルは高性能な次世代素材だが、当然価格も高くなるため、漁船や小型のレジャーボートよりは、マルチクルーザーなどに向いている。(苅田氏)」

苅田氏は、プレゼンテーションでも「トヨタのブランド、商品力とヤンマーの技術の融合によってマリンレジャー産業を盛り上げたい」と発言している。それぞれの得意分野で協力したほうが、商品や技術に最適なセグメントに展開でき利益も最大化できるということだろう。

とはいうものの、友山氏が「今後はエンジンの相互供給やアフターマーケットでの協業へとつなげたい。」とプレゼンテーションで明言したように、トヨタもヤンマーを単に素材供給の相手と見ているわけではない。

なお、トヨタは、TOYOTA-28 CONCEPTの市販開始以降、ハイブリッドハルを使ったクルーザーやフィッシングボートなど「ラインナップを充実させていく(友山氏)」という。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  5. カスタムパーツが付け替え可能な高級トミカ、「日産 スカイライン25GT TURBO」11月発売
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る