限られたフェラーリオーナーが手にできる究極の1台「FXX K」…その全貌

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フェラーリ FXX K
フェラーリ FXX K 全 34 枚 拡大写真
3月5・6日に鈴鹿サーキットで開催された「フェラーリ・レーシング・デイズ2016」に当日集まったメディア向けにピットツアーが開催され、これまでその全貌がなかなか明かされていなかった『FXX K』の詳細が解説された。

この車両は同社の『ラ・フェラーリ』をベースにして開発されたもの。サーキット専用モデルとなっているため一般公道で走ることができず、こういったイベントや走行会などの場でないとドライブできないというのが特徴の一つだ。

公道で走れないサーキット専用モデルとなると、すぐに「レーシングカー」を想像してしまいがちだが、レース参戦マシンというのは競技用であるため様々なレギュレーションで制限を受けることになる。特に現在市販のレーシングカー市場で最も人気のある「FIA-GT3」規格のマシンも、レースによっては性能制限がつき、そのマシンが持っている本来のパフォーマンス全てを生かすことができない。

FXX Kは、イタリア・マラネロにあるフェラーリ本拠地の中にある専門部門「コルセ・クリエンティ」が管理・運営する、サーキット専用モデルをサポートする「XXプログラム」の新たな1台として2014年12月にデビュー。この「XXプログラム」は『FXX』や『599XX』など市販モデルをベースにサーキット走行のみを目的とした限定シリーズのこと。ただサーキット走行でオーナーだけが楽しむのではなく、そこで培われたデータも今後の新車開発に役立てられるという。

今回のFXX Kは、長年フェラーリのオーナーとして往年のF1マシンやFXXなどを所有している実績のある限られたオーナー向けに販売されたもの。このうち日本への割り当ては5台。今回鈴鹿には4台のFXX Kが登場した。このうちの2台はイベント前日にオーナーへ納車されたばかりだったという。

心臓部には6.3リットルのV12エンジンと、フェラーリ初となるハイブリッドシステム「KERS」を搭載。トータルパワーは1050馬力になると言われている。

そのビックパワーを受け止め、安定したサーキット走行を実現するため空力面も徹底的に作り込まれ、車体上部だけでなく、下面部分も空気の流れが計算されたデザインに。これにより200km/hでも540kgというダウンフォース数値を記録し、大柄なマシンのわりに、コーナリングでも非常に高い安定性を発揮。実際に鈴鹿の連続するS字区間を通過する際も、マシンがロールしたり、車体が横にスライドしていくという挙動は一切感じられず、車体全体がしっかりと地面に押さえつけられているという印象をうけた。

それだけでなく、ほぼ全てのパーツがFXX K専用で開発されている。例えばタイヤはピレリ『P-ZERO』でセンサー付きのスリックタイヤ。側面にも車両ロゴが入っているほど。ブレーキはブレンボ製で超大型のカーボンブレーキが取り付けられている。さらにF1などと同様にシートもドライバーの体格に合わせて型を取り、1人1人専用のシートを作成するというスペシャルな1台となっている。

今回は世界限定32台で販売され価格は3億円以上。走行できるのはサーキットのみという、まさに贅沢な1台。購入できるのは前述でも触れた通り、長年フェラーリのオーナーとしてXXプログラムの車両やF1マシンなどを所有するハイクラスのオーナーのみとのこと。

さらにコルセ・クリエンティではFXX Kのアフターサポートの体制も万全に整えている。もちろん、購入した後は自身で管理しても構わないのだが、大半のオーナーが「最高の状態で走りたい」と、イベントが終わるとマラネロに預け、スタッフが日々メンテナンスをしているという。

まさに限られたオーナーのみが体験できる「贅沢な時間」ではあるが、フェラーリが作った究極の1台で思いっきりサーキットを走ることができる。そして来場したファンも、フェラーリが誇るスーパーカーの迫力ある走行を間近で観覧。こちらも滅多にできない体験ができた。そんな“夢”を常にフェラーリは「フェラーリ・レーシング・デイズ」という場で提供している。

なお基本的にフェラーリ・レーシング・デイズの日本開催は年1回のみ。次回FXX Kの走行シーンを国内で観られるのは、当分先になりそうだ。

《吉田 知弘》

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