日産自動車のカルロス・ゴーンCEOは東日本大震災で一時生産停止の被害を受けたエンジン生産拠点いわき工場で4月5日に行われた自治体への電気自動車寄贈式典で、「今のいわき工場は日産にとってまさにシンボルだ」との認識を示した。
ゴーンCEOは「震災後、初めていわき工場を訪れると、電気も通っていなかったし、もちろん暖房も効いていなかった。ほとんど床も完全に壊れていて足元が悪かった。機械は倒れ、そして従業員は完全に落ち込んでいた」と震災直後の状況を説明。
その一方で「いわき工場を復活させると決意表明した。何がどうあっても、どうしてもそれはやると約束した。それはなぜか。いわき工場の持つ潜在力を信じているからだ」と、当時の心境を振り返った。
いわき工場は震災で鋳造施設の出火を始め、設備損壊や地盤沈下などの被害を受け生産停止を余儀なくされた。しかし従業員の努力、他工場や関係会社からの応援で震災から2か月後に完全復旧を果たした。
ゴーンCEOは「震災直後に生産が完全に止まっていた状況から、今は正常化しているだけではない。1994年の稼働開始からのエンジン生産累計は昨年12月に700万基に達した。そして今年2月には新しいエンジンVR30の生産を開始した」とした上で、「今のいわき工場は日産にとってまさにベンチマーク。回復力、しなやかさ、そして持続可能性の証だ」と強調した。
いわき工場のあるいわき市や福島県の復興はまだ道半ばだが、ゴーンCEOは「引き続きこの工場に投資し、最高の技術をもたらすことを通じて、地域社会に貢献したい」と述べた。