新日鉄住金は、疲労特性・加工性に優れたハイテン鋼板を開発するとともに、実用化を拡大すると発表した。
同社では、590・780・980MPa級の熱延ハイテン鋼板を量産しているが、自動車軽量化などの市場ニーズに対応するため、従来よりも疲労特性・加工性・外観に優れた590・780MPa級熱延ハイテン鋼板と780MPa級熱延原板合金化溶融亜鉛めっきハイテン鋼板を開発してきた。
これらハイテン鋼板は自動車足廻り構造部品やホイール部品を中心に、国内外の自動車メーカー向けの部品に採用され、累計生産量は約10万トンに達し、生産量が拡大している。
これら製品は、成分設計と熱間圧延プロセスの高度な温度制御で従来製品を上回る疲労特性を実現するとともに、同社の従来型ハイテン比で伸びを2割以上、穴広げ率を4割以上向上させていることから、形状によっては高強度化が難しかったサスペンションアームなど、難成形部品に適用が可能。また、外観にも優れることから、ホイール部品などの外観にシビアな品質が要求される部品にも適用が可能。
さらに、780MPa級ハイテンは、同様の特性で合金化溶融亜鉛めっき鋼板もラインアップに加えたことから、防錆性能が要求される部品にも適用が可能となる。
これらの製品メニューの拡大により、自動車におけるハイテンの適用範囲が広がり、自動車の軽量化をさらに進展させることができる見通し。
同社では、自動車軽量化などに寄与する環境に優しい鋼材の開発するとともに、広く適用する事を可能にするプレス成形技術をはじめとしたアプリケーション技術の開発も進めていく。