X線天文衛星「ひとみ」の状況を公表…電波とコマンド送信で通信確立に注力

宇宙 テクノロジー
X線天文衛星(ASTRO-H) 「ひとみ」軌道上外観図
X線天文衛星(ASTRO-H) 「ひとみ」軌道上外観図 全 1 枚 拡大写真

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、通信不能となっているX線天文衛星「ひとみ」の状況を公表した。

「ひとみ」衛星は、通信不通が判明した3月26日時点では、全観測機器の立ち上げを完了しており、4月中旬に「較正観測フェーズ」へ移行する予定だった。異常が判明した前後の3月25日、3月26日にかけては、次フェーズ移行に向けた準備として複数のX線天体に望遠鏡指向し、全観測機器で試験観測中だった。

通信不良発生後、国内外のJAXA追跡局を優先的に割り当て、推定される「ひとみ」の軌道にアンテナを向けてコマンドを送信し続けるとともに、衛星からのテレメトリの受信を試みている。4回の通信機会で、衛星からの電波を受信しているが、テレメトリの取得には至っておらず、衛星の状態は確認できていない。

電波を受信した方向・時刻には、他の衛星が存在しないことを軌道情報などから確認しており、JAXAでは、この電波は「ひとみ」から発信された可能性が高いと推定している。

通信異常発生以降、日本宇宙フォーラム所有の上齋原スペースガードセンター(KSGC)のレーダー、美星スペースガードセンター(BSGC)の光学望遠鏡を使って「ひとみ」の軌道周辺を観測している。JSpOCは「ひとみ」周辺に5つの物体があると公表しているが、JAXAは現在までのところ2物体までの軌道を把握している。

両物体の軌道情報を元に時間をさかのぼると、3月26日10時37分頃に「ひとみ」の当初の軌道上のほぼ同位置にいたことが判明した。これより、両物体のどちらかは「ひとみ」から分離した物体と見られる。

JAXAでは、衛星との通信復旧を最優先事項と考え、引き続き国内外のJAXA追跡局を使用した通信機会(1日20回程度)に衛星に向けて電波とコマンドを送信して通信確立に注力している。並行して取得済みテレメトリ解析、今後の衛星状態を推定するための検討、要因分析などを進めるとともに、これらを反映した対策として姿勢異常事象、衛星から複数物体発生事象、通信異常事象を検討している。

《レスポンス編集部》

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