インディカー・シリーズ第3戦決勝が現地17日、米カリフォルニア州のロングビーチ市街地コースで実施され、シモン・パジェノーが通算5勝目、今季初優勝を飾った。佐藤琢磨が好走し、ホンダ勢最上位の5位でフィニッシュしている。
伝統のロングビーチ市街地戦、ここは琢磨が2013年にインディカー初優勝を飾った地でもある。その琢磨(#14 AJ.Foyt Racing)は予選でホンダ勢2番手につけるも全体8位で、上位1~6位がシボレー勢。予選からエンジン対決の構図はシボレー優位だった。ポールポジションは2戦連続でエリオ・カストロネベス(#3 Team Penske)が獲得。
決勝レースは80周、燃費的に2ストップレースとなるが、この日はとにかくインディカーらしからぬ落ち着いた流れとなった。アクシデント等によるフルコースコーションが最後までなく、コース上での順位変動も多くない展開。シボレー勢の2強チーム、ペンスキーとガナッシの選りすぐり精鋭陣によるトップ6独占の構図も崩れないまま、レースは終盤に向かう。
そこにホンダ勢で一矢報いたのが琢磨だった。序盤8番手、中盤7番手と着実な走りを見せた琢磨は、50周過ぎの2回目のピットストップ攻防でウィル・パワー(#12 Team Penske/シボレー)に先行して6番手へと浮上。さらに残り10周が迫る段階でトニー・カナーン(#10 Chip Ganassi Racing/シボレー)をコース上で鮮やかにパス、5番手に上がる。
最終盤、4番手のファン・パブロ・モントーヤ(#2 Team Penske/シボレー)にも迫っていった琢磨だが、オーバーテイクには至らず5位でフィニッシュ。3位との差もわずかで、表彰台にあと少しという残念な結果でもあったが、様々な面からレースの状況を考えた場合、この5位は実に内容のある好走、価値の高い5位だった。
佐藤琢磨のコメント
「今日の結果を嬉しく思います。プッシュすべき時は、徹底的にいきました。カナーンをパスして、4位のモントーヤにもチャレンジしていった流れは、とてもスリリングでしたね。チームはピットで素晴らしい仕事をして僕をコースに送り返してくれました。だから僕はハードにプッシュできたんです。マシンの状態が良かったことも嬉しく思っています」。
今シーズンの今後、特にロード&市街地コースでの琢磨の戦いへの期待が大きく膨らむレースだった。
優勝争いの方は、カストロネベス、スコット・ディクソン(#9 Chip Ganassi Racing/シボレー)、シモン・パジェノー(#22 Team Penske/シボレー)のトップ3の順位が2回目のピットストップで、パジェノー、ディクソン、カストロネベスの順にひっくり返る。首位に立ったパジェノーにはピット出口でのラインカットがあり、勝利を決定づける重要な局面でのものではあったが、これは警告のみで事なきを得て、開幕から2戦連続で2位だった雪辱を晴らす今季初優勝となった。
「ここは大好きなコースなんだ。そのコースで、しかもインディカーというレベルが高い戦いに勝利できたことは本当に素晴らしいよ」と語るパジェノーはインディカー通算5勝目。ロングビーチではスポーツカーレースでの優勝経験があるが、インディカーでは初勝利となった。また、昨季から加入した名門ペンスキーでの勝利も初めて。前戦終了時点でトップに立ったドライバーズランキング首位をキープし、リードを広げている。
決勝2位はディクソン、3位カストロネベス。4位のモントーヤまでがシボレー勢で、5位琢磨を挟んで6位カナーンと7位パワーもシボレー勢。ホンダ勢2番手ゴールは8位のジェームズ・ヒンチクリフ(#5 Schmidt Peterson Motorsports)だった。このトップ8のラインアップを見ても、あらためて琢磨の5位には順位以上の価値が感じられるところだ。
次戦は来週末。アラバマ州のロードコース、バーバー・モータースポーツパークで現地24日に決勝レースが行なわれる。