三菱自決算、燃費不正の影響「数字をあげるのが難しい」

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三菱自動車の決算会見の様子
三菱自動車の決算会見の様子 全 2 枚 拡大写真

三菱自動車は4月27日、東京・田町の本社会議室で2015年度決算会見を行った。しかし、今回はその雰囲気が大きく違った。いつもは空席が目立つ会場も満席で、テレビカメラもズラリと並ぶ。相川哲郎社長らが入場すると、カメラのフラッシュが一斉にたかれた。

会見はまず相川社長の謝罪から始まった。「当社が国土交通省へ提出した燃費試験データについて不正な操作が行われていたことが判明しました。お客様をはじめ関係する皆様に多大なるご迷惑をおかけしていることに心より深くお詫び申し上げます」と語り、横に並ぶ青砥修一常務、田畑豊常務を一緒に立ち上がり、深々と頭を下げた。

質疑応答では、言うまでもなく燃費不正についての質問が集中した。「問題発覚後1週間で本業にどんな影響が出ているのか」「今後、財政面での影響についてはどうか」「軽自動車で協業する日産自動車との関係を今後どうするのか」…。

本業への影響については、相川社長が次のように答えた。「まだ正確に把握できていないが、(不正を公表した)20日の前と後では1日当たりの受注台数で見ると半減している。海外はまだ情報がきていない。不正で燃費にどれくらい影響があったか、試験で確認しているが、国交省に受理していただけないと確定ができない。お客さまへの補償のレベルなどの確定は先になると思う。数字をあげるのは難しい」

財政的には今のところ問題がなさそうだ。「この2、3年で財務健全性は大幅に強化されている。約4600億円の現預金がある。有利子負債もかつては多額のものがあったが、3月末で300億円以下なので、財務体質としては強いと思っている」と田畑常務は話す。

しかし、運転資金も必要なので、この4600億円がすべてユーザーへの補償に回せるわけではない。しかも補償はユーザーに対してだけでなく、軽自動車を供給する日産やその販売店、そして三菱自動車に部品を供給しているサプライヤーなど多岐にわたる。果たして手持ち資金だけで賄いきれるのだろうか。

「金融機関には現状を説明して、必要な時は資金調達をお願いするとは伝えている」(田畑常務)そうで、今度もまた三菱グループを当てにしている様子だ。前回の経営危機の時には、三菱東京UFJ銀行、三菱重工業、三菱商事の「御三家」が中心になって三菱自動車を支えた。しかし、今回はどうだろうか。

三菱東京UFJ銀行はマイナス金利政策で以前よりは収益が上がらない状況で、その対応に追われている。三菱重工業は客船事業で巨額の特別損失を計上し、業績を下方修正している。そして、三菱商事は資源安の影響で2015年度の純損益が戦後初の赤字になる見通しだ。文字通り、自社のことで精一杯の状態だ。

ただ、裾野が大きい自動車産業のことを考えて、三菱グループ内では「三菱自動車をつぶすことはできない」との声も出ており、今回は前回とは別のシナリオが出てくる可能性もある。もしかしたら、「軒下を貸して母屋を取られる」ようなことが起こるかもしれない。

《山田清志》

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