【北京モーターショー16】中国で評価されるアイシンのAT、全34社体制で需要に対応…伊原社長

自動車 ニューモデル モーターショー
アイシン精機 代表取締役 伊原保守氏
アイシン精機 代表取締役 伊原保守氏 全 14 枚 拡大写真

日本の自動車部品サプライヤーであるアイシングループ206社は北京モーターショーでプレスカンファレンスを開催。グループの概要と同グループが手掛ける最新技術開発の現状、今後の中国での事業活動についての抱負を、アイシン精機の伊原保守取締役社長が語った。以下、コメントをまとめた。

◆「環境」「安心・安全」「快適・便利」の3つのテーマを掲げる

アイシングループが現在取り組んでいるテーマは、「環境」「安心・安全」「快適・便利」の3つ。

「環境」については2025年までに燃費を30%改善する技術に挑戦中。そのためにアイシンは5つの分野での技術開発を進めている。そのキーテクノロジーとなるのが、「熱マネジメント」「パワートレーンの電動化」「伝達効率向上」「空気抵抗値の低減」「軽量化」の5つ。これらを極めることで目標達成を実現していく。中でも重要となるのが「熱マネジメント」だ。今後は熱を発生しないEVが増えていくのは確実で、そのために熱を自ら作り出し、クルマ全体で熱を最適配分する必要が生じる。アイシンはグループの総力を挙げてこれらに対応する製品を開発していく。

「安心・安全」では“交通事故ゼロ”を目指す2つの技術を提案している。

一つは駐車支援システムとして、現行の「インテリジェント パーキングシステム」をレベルアップした完全自動駐車システムを開発。スマートフォンを使ったリモコン操作による自動駐車を実現し、運転が得意でない人や、狭い駐車スペースでも楽に駐車できるようになっていく。

もう一つはドライバー・モニタリングシステムを応用し、ドライバーが意識を失うような不測の事態に陥っても車両を安全に路肩へ退避させる技術。見逃せないのは、開発車両に4輪操舵システムが採用されている点。これはドライバーがステアリングにもたれかかった場合でも後輪で安全に退避できるよう改良を加えたもの。この技術は自動運転実現に貢献する技術となる。

「快適・便利」では、ユーザーのニーズを先読みし、快適で高付加価値のシステムを提供していく。中国ではSUVが人気から快適性を追求するユーザーが増えている。サンルーフやパワースライドドア/バックドアへの人気がとても高く、特にサンルーフについては中国国内にある3つの工場で生産を行い、その需要に対応している。

◆中国では全34社体制で自動車用部品を生産

アイシングループの中国での展開は1995年にエンジン部品の生産会社を設立したことから始まる。以降、天津、広州、上海などに全34社体制で自動車用部品を生産している。

近年は高まる中国でのニーズに現地で素早く対応するため、中国国内での研究開発の強化を進めてきた。2011年9月には上海北部の南通市にR&Dセンターを設置し、2016年2月にはトランスミッションの研究開発拠点も新たに設けた。研究に携わる人員は約300名となり、中国市場から要求されるニーズに素早い対応が可能となった。

中国国内ではトランスミッション生産体制は強化している。アイシンAWが開発したATは中国でも高く評価され、現在、中国国内では3工場で100万台生産体制が整ったところだ。中国での新たなOEM先も決まった。2016年からは上汽通用五菱向けにオートMTが採用され、これは中国市場向けに新規開発したもの。この夏から月産2万台を供給していく予定になっている。福田汽車の新型トラックにはABSモジュールが採用が決定した。

アイシングループとして自然環境保護活動を中国でも行っていく。地元自治体と連携した自然保護活動を行い、青少年育成のプログラムも実施していく。

アイシングループの総従業員数は現在約10万人で、総売上高は2015年度で3.2兆円となる見通し。これは自動車部品サプライヤーの中で第5位にランキングする。アイシングループは世界中の自動車メーカーとの取引があり、中でも中国では43社と取引関係にある。その提供範囲はボディからエンジン、エレクトニクス、情報関連など幅広い。

《会田肇》

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