【DS 4 クロスバック 試乗】都会的でスマートな、パリのプレミアムブランドSUV…森口将之

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DS 4 クロスバック
DS 4 クロスバック 全 16 枚 拡大写真

『DS 4』はもともと、クーペとSUVのクロスオーバーとして生まれた。だからそれをベースにSUVらしさを高めたという『DS 4 クロスバック』の成り立ちを聞いて、疑問に思ったことを覚えている。しかし実車を前にすると、流行発信地パリのプレミアムブランドらしいコーディネイトの妙に、むしろ感心してしまった。

逞しく盛り上がったフェンダーに、ブラックのモールディングやホイールが違和感なく溶け込んでいる。最初からこの姿を狙っていたのではないかと思うほど決まっている。おかげでクーペを思わせるルーフラインが、大胆なコントラストとして目に飛び込んでくる。

鮮烈でありながら派手さを抑えた専用色、オランジュ トルマリンの色調もフレンチプレミアムブランドにふさわしい。足元をブラックで統一しているからこそ、シルバーのルーフレールと窓枠が絶妙なアクセントになっている。リアに回ると、ゲートに追加されたクロスバックのロゴもマットブラックにしてあった。SUVでありながら泥臭さはなく、むしろ都会的な仕立てがスマートだ。

DSウィングと呼ばれるクロームメッキ仕上げのグリルは、かつてのDSのフロントバンパーの開口部を広げ、中にロゴを入れ、両脇にライトを配したという解釈だという。知的な発想がフランスっぽい。「DS LED VISION」と名付けられたライトユニットは、LEDとバイキセノンの組み合わせが宝石のようだ。

ボディサイズは全長4285×全幅1810×全高1530mmで、ハッチバックと比べて全高およびドライバーのアイポイントが30mm高くなっているものの、SUVとしては珍しく、我が国の多くの立体駐車場にも収まるところがうれしい。

もちろんキャビンのフロアも高くなっている。身長170cmの僕にとっては、むしろアクセスしやすくなった。インテリアもエクステリア同様、泥臭さはなく、クールな雰囲気。ドアグリップやセンターコンソールに細かくDSモノグラムを入れたり、シートはレザー/ダイナミカ/ファブリックのコンビとしたり、きめ細かいドレスアップに感心する。

後席は僕が座るとひざの前に15cmほどの空間が残り、頭上も余裕がある。クーペっぽいルーフラインにもかかわらず、Cセグメントの実用車として通用するスペースを備えているのは、DS 4 クロスバックの隠し技と言えるだろう。

パノラミック・フロントウィンドウ越しに春の陽射しを感じながら走り出すと、加速が予想以上に活発であることを教えられる。このクラスのSUVとしては重すぎない1370kgの車両重量に対し、1.6リットル直列4気筒ターボエンジンは165ps/24.5kgmを発生するのだから当然だ。同時に感じるのはトルコンATならではのスムーズネス。フレンチプレミアムという言葉から連想するエレガンスが、加速感にも表現できている。

DS 4の乗り心地は、デビュー当初から素晴らしかった。クロスバックもそのアドバンテージは受け継いでいる。座面の厚みや背もたれの張りが適切なシート、215/55R17という太すぎず扁平すぎないタイヤサイズも手伝って、フランス生まれらしいしっとり感が堪能できる。それでいてハンドリングに腰高感はなく、素直な身のこなしと安定した接地感だけが印象に残った。

今回は試さなかったけれど、170mmに高められた最低地上高のおかげで、多少の悪路でも不安なく走破できそうだ。それを21世紀のパリ生まれらしいクールでシックなボディでやってのけるところに、DS 4 クロスバックのカッコ良さがある。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

森口将之|モータージャーナリスト&モビリティジャーナリスト
1962年東京都生まれ。自動車専門誌の編集部を経て1993年に独立。雑誌、イン ターネット、ラジオなどで活動。ヨーロッパ車、なかでもフランス車を得 意とし、カテゴリーではコンパクトカーや商用車など生活に根づいた車種を好む。趣味の乗り物である旧車の解説や試乗も多く担当する。また自動車以外の交通 事情やまちづくりなども精力的に取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。グッドデザイン賞審査委員。

《森口将之》

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