ブリヂストン、ICTを駆使したタイヤ成型システムの導入を発表

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三枝本部長
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ブリヂストンは25日、独自のICTにAIを実装した最新鋭のタイヤ成型システム「EXAMATION」を、フラッグシップ工場の彦根工場(滋賀県)に導入したことを発表した。

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EXAMATION(エクサメーション)はタイヤ製造時の成型工程をパッケージしたユニットの名称。「システム」と呼んでいるのは、単体で機能を高めているだけでなく「ここで得た情報を既存の成型システムや前後の工程、製品情報といったさまざまなデータと連携することで、工場全体の能力を向上させるデバイスでもあるため」と三枝幸夫タイヤ生産システム開発本部長。

このシステムのおもな特徴は「品質向上」、「高生産性」、「自動化によるスキルレス」という3点。まず「品質向上」については、タイヤ1本あたり480項目の品質データをセンサーで計測し、部材が最適条件で組み立てられるようリアルタイムで制御するAIを実装。従来製法よりも真円性が15パーセント以上も向上しているという。プレゼンでは部材の位置や角度がこまめに調整されながら流れてゆく様子が紹介された。

「高生産性」は「マルチドラム製法」で実現。従来はひとつのドラムにさまざまな部材を順番に貼り付けてタイヤの形にしてゆく。EXAMATIONでは複数のドラムにそれぞれの部材を貼り付け、その後ひとつにまとめる方式とした。これによって生産リードタイムのロスを減らし、従来製法の約2倍という生産性を実現。

また、これまで技能員のスキルに依存してきた、生産工程や品質保証の判断・動作等を設備側で自動化したことが「スキルレス」のポイント。手作業によるバラつきを抑制し、品質向上に繋げることができる。ただし三枝開発本部長によれば、工程の無人化を目指すものではいという。技能員は携帯端末で状況をリアルタイムで把握し、迅速な対応をすることで効率を向上させることになるという。

自動化は人員削減ではなく、従業員の業務スタイルを変えるものだと三枝開発本部長。それぞれが持つ高度なノウハウや知見をデジタル化することで、幅広く活用できることを目指しているという。

今後の展開について、同社IT・ロボット技術改革部IT技術革新ユニットの佐々木英二ユニットリーダーは「(このシステムを使うのは)量販ブランドのタイヤがメインになっていくんじゃないかと考えているが、今後の計画に合わせて最適化を図っていきたい」と説明している。

ブリヂストンでは将来の生産体制について、国内製造拠点で培った「日本のものづくりの強みを活かした技術」をグローバル展開する、という方向性を目指している。EXAMATIONもこれに沿って、徐々に展開されてゆくことになりそうだ。

《古庄 速人》

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